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ウパニシャッド

出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

うぱにしゃっどてつがくから転送)

ウパニシャッド

(skt.) UpaniSad उपनिषद्

古代インドの哲学書。インド思想の根本として重要な文献である。バラモン教の聖典ヴェーダの4部門の最終部門なので「ヴェーダーンタ Vedaanta (ヴェーダの末尾)」とも呼ばれ、のちに「ヴェーダの極致」と解釈された。
「ウパニシャッド」の語義は、通説によれば「近くに座る upa‐ni‐sad」という動詞から転じて、師弟が対座して師から弟子へと伝達される「秘義」をさすとされたため、「奥義書」と訳されたことがある。

時代区分

現存するウパニシャッドは200種以上だが、時代的に古く重要なものの14~17編を特に「古ウパニシャッド」と呼ぶ。これらは、前500年を中心とした前後の数百年間に成立したものと考えられる。『ブリハッド・アーラニャカ・ウパニシャッド bRhad‐aaraNyaka‐upaniSad』『チャーンドーギャ・ウパニシャッド chaandogya‐upaniSad』の2編が、その代表である。
「古ウパニシャッド」以降も文献は続々と作成され、一括して「新ウパニシャッド」という。

梵我一如

ウパニシャッドは主として対話・問答形式で書かれている。「古ウパニシャッド」に限っても数百年の期間をかけて、多数の思想家の手を経て作成されたので、種々雑多の思想を含み、相互に矛盾する説が収められていることも多い。
特にウパニシャッドの中心思想とされ、後世に最も大きな影響を与えたのは、「梵我一如(ぼんがいちによ)」の思想である。
これは、宇宙の本体としての「ブラフマン(梵)」、および人間存在の本質としての「アートマン()」とをそれぞれ最高の実在として定立したうえで、この両者が本質的には同一であって、その同一性を悟ることによって解脱が得られると説くもので、『リグ・ヴェーダ』末期以来徐々に発展しつつあった一元論的傾向が、いちおうの頂点に達したものと考えられる。
代表的思想家としては、梵=我を純粋の認識主体と考えてその精神性を強調し、観念論への道を開いたヤージュニャバルキヤ、および「実有 sat」としての梵我を第一存在として、「実有」からの宇宙発生を説いたウッダーラカ・アールニの両者が挙げられる。
「梵我一如」の思想は、のちにヴェーダーンタ学派に継承され、インドにおける最も有力な思想となった。また、ウパニシャッドにおいてはじめて明示された輪廻の思想、および輪廻の原因としてのの思想は、以後のインド思潮全般に絶大な影響を与えた。仏教をはじめとするインドの宗教・哲学諸派は、一様に輪廻説を承認し、なんらかの形で輪廻から解脱することを理想としたのである。

西欧への影響

ウパニシャッドは、19世紀冒頭フランスの東洋学者アンクティル・デュペロンのラテン語訳『ウプネカットOupnek'hat』によってはじめて世界に紹介された。これはペルシア語訳からの重訳である。ドイツの哲学者ショーペンハウアーが、この翻訳から大きな影響を受けた。