こんごうちょうきょう

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金剛頂経

Vajraśekhara-sūtra (S)

 金剛頂経は大日経とあわせて、日本の真言密教では、「両部の大経」として重要視される。しかし、単一の経典ではなく、大日如来が18の異なった場所で別々の機会に説いた10万頌(じゅ)に及ぶ大部の経典の総称である。
 一般に『金剛頂経』といわれるときは、そのうちの初会(しょえ)にあたる『真実摂経(しんじつしょうきょう)』(Tattvasaṃgraha-sūtra)を指す。漢訳として金剛智訳の略出念誦経(4巻)、不空訳の真実摂経(3巻)、施護訳の真実摂経(30巻)がある。サンスクリット原典、チベット訳も現存し、それらは漢訳では施護訳と対応する。
 7世紀中頃から終わりにかけて、南インドでその基本形が成立し、次第に施護訳にみられるような完成形態に移行した、と考えられている。  日本ではあまり本格的に研究が行われなかったが、8世紀以後のインド後期密教や、それを継承したチベット密教では、金剛頂経を中心として、その発展形態が栄えた。

内容

 大日如来が一切義成就菩薩(いつさいぎじょうじゅぼさつ)(=釈尊)の問いに対して、自らの悟りの内容を明かし、それを得るための実践法が主となっている。その悟りの内容を具体的に示したのが金剛界曼荼羅であり、その実践法の中心となるのが五相成身観(ごそうじょうしんがん)である。
 五相成身観とは、行者の汚れた心を、瑜伽観法を通じて見きわめ、その清浄な姿がそのまま智慧に他ならないことを知り、仏と行者が一体化して、行者に本来そなわる仏の智慧を発見するための実践法である。
 8世紀の瑜伽部密教の三大学匠といわれるブッダグヒヤ、アーナンダガルバ、シャーキヤミトラなどの注釈書がチベット訳として残っている。