じゅんしょうりろん
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阿毘達磨順正理論
Abhidharma-nyāyānusāra-śāstra (S)、80巻、T29, pp.329-775。
『正理論』『倶舎雹論(くしゃばくろん)』とも言われる。梵本・チベット本ともなく、漢訳のみ現存する。
衆賢(Saṃghabhadra, 4世紀頃)造、玄奘訳。
内容
2万5千頌、80万言ありと言われ、下記の8品に分かれており、『倶舎論』の組織をそのまま利用している。
- 弁本事
- 弁差別
- 弁縁起
- 弁業
- 弁随眠
- 弁賢聖
- 弁智
- 弁定
世親が説一切有部の教理に依りながらも、それを批判的に扱って『倶舎論』を著わしたので、有部の正統説を顕そうとして、12年かけて『倶舎論』の偈文を使いながら破斥した。この書を持って世親と対論しようとしたが、果たされなかった。
有部の正統説を立てたが、『倶舎論』を破斥するために、正統説をも逸脱して、新説を唱えた部分もある。そのために衆賢の説を「新薩婆多」とも言う。
衆賢の別著である『阿毘達磨顕宗論』が顕正門であるのに対して、『順正理論』は破邪門である。