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じゅんしょうりろん

出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

阿毘達磨順正理論

Abhidharma-nyāyānusāra-śāstra (S)、80巻、T29, pp.329-775。

 『正理論』『倶舎雹論(くしゃばくろん)』とも言われる。梵本・チベット本ともなく、漢訳のみ現存する。
 衆賢(Saṃghabhadra, 4世紀頃)造、玄奘訳。

内容

 2万5千頌、80万言ありと言われ、下記の8品に分かれており、『倶舎論』の組織をそのまま利用している。

  1. 弁本事
  2. 弁差別
  3. 弁縁起
  4. 弁業
  5. 弁随眠
  6. 弁賢聖
  7. 弁智
  8. 弁定

 世親説一切有部の教理に依りながらも、それを批判的に扱って『倶舎論』を著わしたので、有部の正統説を顕そうとして、12年かけて『倶舎論』の偈文を使いながら破斥した。この書を持って世親と対論しようとしたが、果たされなかった。
 有部の正統説を立てたが、『倶舎論』を破斥するために、正統説をも逸脱して、新説を唱えた部分もある。そのために衆賢の説を「新薩婆多」とも言う。
 衆賢の別著である『阿毘達磨顕宗論』が顕正門であるのに対して、『順正理論』は破邪門である。