対治
pratipakṣa (S)
相手に向かい合って正しく治定する意味で、仏教では、個々の煩悩の迷いを断つこと。
仏道修行の過程で悟りのさまたげになる障害を除くことをいう。個々の障害を対症的に断じてゆくことから、病気を治す意味となり、一方「退治」を当てて、こらしめる、討伐するの意に用いられるようになった。
なお、わが国で「退治」の表記が見られるのは中世以後で、意味の転化もそれに対応したようである。
- 身病の対治に八つ有り。しかも心病の能治に五つ有り 〔十住心論(1)〕
- あしきことと知りなば,漸々に退治すべきなり 〔随聞記(2)〕