ぼんもうきょう

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梵網経

brahmajaalasutta (pl.)

 パーリ語で書かれた南方上座部の経蔵、長部第1経、漢訳長阿含第14経『梵動経』ならびに『梵網六十二見経』はこれに相当。だが梵動の訳は適当でない。

 梵網はまた見網の法門ともいわれ、すべての見解を漁夫が網をもって捕えるがごとくすくいあげた意味である。本経の内容は2部から成る。第1部は、世人は如来を讃嘆するに瑣細にして卑近、たんに戒をもってするが、かかるものは当時の沙門バラモンが行じているとし、これを小戒・中戒・大戒に分けて説く。第2部では如来みずからさとり、体現して説く、はなはだ見難い微妙の諸法があり、これによってのみ人々は真に如来を讃嘆しうるとする。この法を説明してまず六十二見の第1論すなわち常住論の四見を述べ、

されど如来はかくのごとく取着され、かくのごとく取着せられる諸見解が、かくしてかれらをして地獄餓鬼畜生のいずれかの趣に導き、それぞれの未来の果を得るべきことを知る。如来はこれを知るのみならず、なおこれよりも以上の優れたることを知り、それを知りて取着せず、取着せざるが故に、ひとりみずから涅槃を知り、諸受の原因と滅と味と患と出離とを如実に知りて取執なくして解説す

として、如来を如実に真の意味で讃嘆しうるの道を説き、六十二見が説かれる。六十二見は、正統バラモンの諸説も一般思想界の諸説も、おそらく当時主張された諸説を包含しつくしたもので、次の2類8論に分けられる。

I 過去に関する説。(1)常住論 4見、(2)一分常住論 4見、(3)辺無辺論 4見、(4)詭弁論 4見、(5)無因論 2見
Ⅱ 未来に関する説。(l)死後に関する論(a、有想論 16見、b、無想論 8見、c、非有想非無想論 8見),(2)断滅論 7見、(3)現在涅槃論 5見。

 宇井伯寿「六十二見論」(『印度哲学研究』第3)は本経を研究して、ブッダ時代の一般思想界のあり方を明確にした。

テキスト

  • T.W.Rhys Davids and J.E.Carpenter『The diigha nikaaya』Vol.I(PTS:London 1890)

英訳

  • T.W.Rhys Davids『Dialogues of the Buddha』Part Ⅰ, 1899.

独訳

  • R.0.Franke『diighanikaaya』1913.

国訳

  • 南伝 6

漢訳

  • T1, pp.88-94, 264-270.