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えんどんかい

出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

円頓戒

最澄が唱えた天台宗で授けられるであり、完全にして自在な修行者のたもつ戒のこと。

 『梵網経』が説く大乗菩薩戒で、十重禁戒と四十八軽戒を指し、日本の天台宗が主張した大乗戒を、やがてこの用語で呼ぶようになったものである。円頓とは、円満頓速の意で、全ての物事をまどかに欠ける所なく具え、たちどころに悟りに至らせるのをいい、究極とすることから称された。

 留学中の最澄が道邃より授けられ、当時、唐においては大乗戒小乗戒の兼学が基本であったが、帰国後小乗戒を排し大乗戒のみによる僧侶養成を図った。最澄は円戒という語を用い円頓戒とは呼んでいないが内容的には最澄の創意であり、弘仁13年(822)最澄没後、この戒を授受する大乗戒壇延暦寺に創設されて以降、日本天台宗が南都側の仏教会より自立したとされる。その後円仁の『顕揚大戒論』、安然の『普通授菩薩戒広釈』等により円頓戒は大成する。