操作

きょうりょうぶ

出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

経量部

Sautrāntika सौत्रान्तिक (skt.)

 部派仏教の一派。経典(判断根拠)とする学派、という意味の名前である。部派の中でももっとも有力な説一切有部から仏滅後400年に分かれ、説一切有部が『発智論』などを中心とする論書を重視するのに対して、経典を重視する立場をとった。

 紀元2世紀以降、クマーララータ(Kumāralāta 童受(どうじゅ))を祖とする説があるが、不明である。

 説一切有部の説の幾つかを修正し、なかでも三世実有説に対して、現在有体・過未無体、つまりは現在世のみ実在するという説などを主張した。4-5世紀の世親は、説一切有部によって『倶舎論』のを著し、のち経量部に移ってその注釈文にそれを反映させて、さらに大乗に転向し、唯識説を完成させたので、経量部は有部の批判者として、唯識説との近縁について、注目されている。

 此師唯依経為2正量1。不2律及対法1。凡所2援拠1。以経為証。即経部師ナリ。〔異部宗輪論述記〕
 経を以て量と為せば経部と名づく。〔唐の普光『倶舎論記』2、T41. 35c〕〔窺基『成唯識論述記』4本、T43.358b〕
 サーウトラーンティカとは何者か。スートラ(経典)を正しい知識手段の基準とし、シャーストラ(論書)を正しい知識手段の基準としない人々がサーウトラーンティヵである(kaḥ sautrāntikārthaḥ. ye sūtraprāprāmāṇikā na śāstraprāmāḥikāḥ. te sautrāntikāḥ.)〔ヤショーミトラYaśomitra『倶舎論註』Sphuțārthā Abhidharmakośavyākhyā