くやく

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旧訳

くやく。

 玄奘以後の訳経を「新訳」と呼び、それ以前の訳経を「旧訳」と呼ぶ。
 玄奘は、旧訳は訛謬(かびゅう)と断じた。
 玄奘まで、samādhiは「三昧」、yojanaは「由旬」、sattvaは「衆生」と訳すのがほぼ定まっていた。玄奘はこれを改め、それぞれに三摩地踰闍那有情という新訳語を当てた。新訳語の方がサンスクリットの発音や原意に忠実であるが、初期の漢訳経典の多くはプラークリット(俗語)や西域の諸語から訳出されたから、旧訳が誤りであるとか不完全であるとして排斥することはできない。

 旧訳を代表するのは鳩摩羅什真諦である。とくに羅什の訳語・文体はそれ以前の訳とはっきり区別できる優れた特色がある。維摩経妙法蓮華経金剛般若経は、さまざまな訳があるが、羅什訳がもっとも素晴らしい訳であり、読誦しやすく、名文と呼ぶべきであろう。