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さんがいぎょう

出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

三階教

三階宗・普法宗とも言う。

 隋の信行(540~59)が創設して中唐まで行われた仏教の一派。信行は第三階の仏教を唱道し、具足戒の遵守を廃して労役に従事し、塔と路に遇う男女を礼拝し、乞食して一日一食し、583(開皇3)一切衆生のために身命財頓捨の願をたて、16種の無尽蔵行の制を設けて布施を行い、9年、僕射高穎に迎えられて長安真寂寺(化度寺)に住し、光明・慈門・慧日・弘善の諸寺に弘教し、14年1月寂した。
 著に三階仏法・対根起行法等35部44巻、門下に慧定・道進・王善行・王善性等がある。

 20年、この派は異端として勅禁されたが、徒衆は絶えないで、唐の696(証聖2)には乞食・長斎・持戒坐禅以外の行法を勅禁され、725(開元13)には、徒衆が諸寺の内に三階院を設けて他の僧と別住するを禁じて宗典を破棄せしめたが、800(貞元16)にはこの宗の典籍が入蔵された。その後、この宗典は大蔵経から除かれ、宗の消息は詳かでない。

 現在は日本に伝った三階仏法と、故矢吹慶輝博士が敦煌出土本の中にこの宗の若干の典籍を発見したのと、この宗と最も立場を異にする浄土系等の典籍に散説される資料のみである。

 この宗では仏教を3階に分ち、信行当時はすでに第三階の末法に入り、人は第三階の持戒せず正見を失った人のみであり、第一階の一乗、第二階の二乗等の別法に依り難く、第三階の普法によって、一切の三宝に帰依し、一切の悪を断ち一切の善を修すべきであるなどと説く。