せいがん
出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』
誓願
praṇidhāna प्रणिधान (S)
仏・菩薩が必ず成し遂げようと誓う願い。自己の全心身をかけた願いで、自己および一切衆生の成仏を目ざす。なお、仏道修行者の求道の立願についてもこの語を準用することがある。
四弘誓願は一切の仏・菩薩に共通した誓願(総願)であるが、薬師の十二願、阿弥陀の四十八願、釈迦の五百大願など、それぞれに個別の誓願(本願、別願)がある。
浄土教では、特に阿弥陀仏の本願をさして誓願という。それは弘くすべてのものを救おうとする願い、誓いであるから、弘願、弘誓といい、あわれみの心が深く重いから重願といい、また不捨の誓約、本誓などともいう。
誓願の救済力を誓願力といい、そのはたらきが凡夫の考えの及ばないものであるから誓願不思議という。親鸞の門下で、誓願の力で救われるか、名号の力で救われるかという論争をする者があったが、親鸞は誓願と名号とは同一であるとした〔御消息集〕。ただし存覚の名号不思議誓願不思議問答には、誓願不思議を他力中の他力、名号不思議を他力中の自力であるという。