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まかしかん

出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

2018年10月29日 (月) 17:18時点におけるマイコン坊主 (トーク | 投稿記録)による版 (摩訶止観)

摩訶止観

10巻。天台三大部の一。

 天台智顗が594年、荊州玉泉寺の夏安居で講述し、章安灌頂が筆録校訂した書で、

  • 漸次(ぜんじ)止観の「次第禅門」
  • 不定(ふじょう)止観の「六妙門」

に対し

  • 「己心中所行之法門」の円頓(えんどん)止観

であると章安の私序に述べる。

 内容は止観の大意・釈名・顕体・摂法・偏円・方便・正修、(以下不説)果報・起教・旨帰の10章から成り、正修では観法の対象を10種に分け、各々十乗観法を用いてあらゆる実修体系を余すところなく、空仮中三観を修することを思想体系として論ずる。

 初めに止観法門に金口相承と今師相承の別があることを明らかにし、10章に分ける。
1、大意章 五略に分かれて、発大心―菩提心の意義または四諦・四弘誓願・六即などを明らかにする。修大行―四種三昧の法を明らかにする。感大果―中道実相を実践した人のうけるすぐれた果報を述べる。裂大網―大果を感じて化他の慈悲行をおこし、五時八教を説いて衆生を教化することを明らかにする。帰大処―三徳秘蔵の大涅槃に自他共に帰することを明らかにする。
2.釈名章  止観の名を解釈する。
3.体相章  四教・三智五眼などにより円頓止観の体相を明らかにする。
4.摂法章  止観の体に理惑智行位教などの一切の諸法を摂することを明らかにする。
5.偏円章  爾前の四時三教と今教との止観を偏円に分け、偏を捨て円につくべきことを明らかにする。
6.方便章  円頓止観実修の準備条件として五縁を具し、五欲を訶し、五蓋を棄て、五事を調え、五法を行ずるという二十五方便を詳しく説く。
7.正観章  正しく一念三千の観法を説く部分でその所観の対境として、陰界入境・煩悩境・病患境鰹粥・業相境琵電・魔事境.禅定境・諸見境・増上慢境・二乗境・菩薩境の十境をあげ、のち初めの陰界入境を観る下で有名な十乗観法を明らかにする。但し本書は以上の大綱を示しただけで十境の中の増上慢境以下と一○章の中の末尾三章である
8.果報章、9.起教章、10旨帰章は説かれないで終っている。しかし第1章の五略に大略が記してあるので、大旨は了解できる。
 十境を十乗に観ずるが、その十乗とは観不思議境・起慈悲心・善巧安心・破法徧・識通塞・道品調適・対治助開・知次位・能安忍・無法愛の10で、第2巻に説かれる四種三昧の段と共に、第5巻から第7巻にわたって説かれるこの十乗観法は摩訶止観の中で最も重要な部分である。