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出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

 
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現在スリランカ、タイ、ビルマ、カンボジア、ラオス等の南方仏教に使用されている言語で、南方上座部仏教の聖典語をいう。通常、デーバナーガリー文字で表記する。<br>
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 現在スリランカ、タイ、ビルマ、カンボジア、ラオス等の南方仏教に使用されている言語で、南方上座部仏教の聖典語をいう。通常、デーバナーガリー文字で表記する。<br>
古く仏教の開祖釈迦が、この言語で中インド・マガダ地方を中心に説法教化し、それが南方仏教の聖典語として受け継がれたと伝統的に伝えられている。しかし、パーリ語で聖典が編纂される以前には、マガダ語または古代東部インド語で教えが説かれていたと学界で認められているから、この伝統説は妥当性を欠く。
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 古く仏教の開祖釈迦が、この言語で中インド・マガダ地方を中心に説法教化し、それが南方仏教の聖典語として受け継がれたと伝統的に伝えられている。しかし、パーリ語で聖典が編纂される以前には、マガダ語または古代東部インド語で教えが説かれていたと学界で認められているから、この伝統説は妥当性を欠く。
  
 
===系統===
 
===系統===
パーリ語は、[[サンスクリット]]語が標準語であるのに対して、俗語・民衆語の「プラークリット」の一つ。言語系統的にはインド・ヨーロッパ語族に属し、中期インド・アーリアン語の中の初期俗語である。<br>
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 パーリ語は、[[サンスクリット]]語が標準語であるのに対して、俗語・民衆語の「プラークリット」の一つ。言語系統的にはインド・ヨーロッパ語族に属し、中期インド・アーリアン語の中の初期俗語である。<br>
 
聖典語としてのパーリ語は、現存する文献からみて、質・量ともにもっとも重要な言語の一つである。
 
聖典語としてのパーリ語は、現存する文献からみて、質・量ともにもっとも重要な言語の一つである。
  
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# 西方インドのウッジェーニー(ujjenii)の言語
 
# 西方インドのウッジェーニー(ujjenii)の言語
 
などの4つの説があるが、いずれも十分な説得力を欠く。元々マガダ語で説法していた釈迦の言語的性格と、上座部仏教の中心であったウッジェーニー地方に伝えられた事情など、最後には西方語の影響を受けた事情から、西北インド語の文法的言語的特質を持っている。<br>
 
などの4つの説があるが、いずれも十分な説得力を欠く。元々マガダ語で説法していた釈迦の言語的性格と、上座部仏教の中心であったウッジェーニー地方に伝えられた事情など、最後には西方語の影響を受けた事情から、西北インド語の文法的言語的特質を持っている。<br>
これが、スリランカに伝えられたと考えられる。
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 これが、スリランカに伝えられたと考えられる。

2006年6月12日 (月) 00:23時点における版

パーリ

(pali) Paali पालि

 現在スリランカ、タイ、ビルマ、カンボジア、ラオス等の南方仏教に使用されている言語で、南方上座部仏教の聖典語をいう。通常、デーバナーガリー文字で表記する。
 古く仏教の開祖釈迦が、この言語で中インド・マガダ地方を中心に説法教化し、それが南方仏教の聖典語として受け継がれたと伝統的に伝えられている。しかし、パーリ語で聖典が編纂される以前には、マガダ語または古代東部インド語で教えが説かれていたと学界で認められているから、この伝統説は妥当性を欠く。

系統

 パーリ語は、サンスクリット語が標準語であるのに対して、俗語・民衆語の「プラークリット」の一つ。言語系統的にはインド・ヨーロッパ語族に属し、中期インド・アーリアン語の中の初期俗語である。
聖典語としてのパーリ語は、現存する文献からみて、質・量ともにもっとも重要な言語の一つである。

起源

  1. マガダから発達したという伝説
  2. 釈迦が活躍した諸地域で公用語とされていたコーサラ語から発達した
  3. スリランカに近いインド本土カリンカ地方の言語
  4. 西方インドのウッジェーニー(ujjenii)の言語

などの4つの説があるが、いずれも十分な説得力を欠く。元々マガダ語で説法していた釈迦の言語的性格と、上座部仏教の中心であったウッジェーニー地方に伝えられた事情など、最後には西方語の影響を受けた事情から、西北インド語の文法的言語的特質を持っている。
 これが、スリランカに伝えられたと考えられる。