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せっぽう

出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

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説法

dhammaṃ āroceti, dhammī kathā, dhamma-vādin (P)

 仏の道を人々に述べ伝えること。説教、説経、演説、法施、法読、法談、談義、讃歎勧化唱導なども同じ意味に用いる。

 仏は、時や相手の能力・性質などに応じ、それぞれに適した教え方を用いて教化の効果が完全にあがるように説法した。また仏は一つのことばで説法しても、聞き手の程度によって理解の深さが異なる。
 『思益梵天所問経』巻2には、仏は

  1. 真理にかなったことばにより(言説)
  2. 相手の能力性質に応じて(随宜)
  3. さとりに至らせるためにてだてを設け(方便)
  4. すぐれた法を説いてさとりの道を示し(法門)
  5. 衆生を救うために大きないつくしみあわれみの心を顕す(大悲)

と述べ、説法がこの5つのはたらきによってなされることを五種説法という。経論その他を説く者には5種類があり(これを五説あるいは五種説人という)
 『大智度論』巻2では仏・仏弟子・仙人・諸天・化人(本当の姿をかくして仮に異なった身を現すもの)の5とし、
 善導の『観経玄義分』では仏・聖弟子・天仙・鬼神・変化の5とする。
 また澄観の『華厳経疏』巻1には『華厳経』の中の教えを説く者に仏・菩薩・声聞・衆生・器界(山河大地など)の5があるといい(これを五類説あるいは五類説法という)
 一行の『大日経疏』巻7には真言識を説く者に、如来・菩薩金剛・二乗・諸天・地居天の5があるとする。

 説法は法施といって出家の者の行う布施の行為であり、また『五分律』巻26には自恣の終った夜に説法・経唄(経文に節をつけて歌詠すること)を行うと定めているように、教団の行事ともされた。

 説法をする場合の心得としては、『法華経』巻4法師品には、

如来の室(大慈悲)に入り、如来の衣(柔和忍辱)を着け、如来の座(諸法空)に坐ってしなければならない

といい、『優婆塞戒経』巻2や『十住毘婆沙論』巻7にもそれぞれ心得が説いてある。説法の儀式については、『仏本行集経』巻49説法儀式品に詳しく説いてある。また説法を聴く聴者の心得についても諸経論に説かれ、これら説法の説者および聴者の心得ねばならない事項を説聴の方軌という。  なお『優婆塞戒経』巻2には、説法に清浄・不浄の二種説法があることを説き、利己心や他人との競争心からする説法を不浄説法とする。

 中国では斎会などの時に説法するのを唱導といい、『高僧伝』巻13には唱導に巧みであった僧の伝記を伝えている。
 日本では平安後期から唱導を専門にしてその技術を家業として伝える者もあり、一部には次第に俗化して説経祭文(初めは仏寺の縁起などを節に合わせて語ったが、後には三絃などを用いて人悩を歌う)などというものもできた。