ぞうじょうえん
出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』
増上縁
adhipaḥ pratyayaḥ : adhipati-pratyaya ; ādhipateya (S)
四縁(因縁・等無間縁・所縁縁・増上縁)の一つ。力すぐれた縁。
ありとあらゆるものは他のものが生ずることに対して助力し(有力)、または少なくともその生ずることをさまたげない(無力)。それゆえ、あらゆるものは、その一つのものの生ずることに影響、支配を及ぼしているから、いかなるものも増上縁となる。すべての現象が果である一つの法に対して縁(間接原因)となることで、他の法の生ずることを妨害しない縁をも含めていう。
たとえば、米粒を稲にするものとしての業・水・土・暖かさなど。
増上縁とは此外の諸の物の縁也、身は心を縁とし、我は人を縁とし、人は我を縁とし、有情は非情を縁とし、非情の中に舎宅山海草木等は大地を縁とし、大地は三輪を縁とし、舎宅の中に橡梁垣柱さまざまの物共の互に縁となり、山海草木等の中に風雨水石根茎枝葉花果くさくさの物共の互に縁となり、乃至人の四肢五体万づの物共の互に縁となる様無量無辺なり、箇様の縁共は皆増上縁也。 〔唯識大意〕
浄土教では親縁.近縁とともに三縁を説き、阿弥陀仏の本願が往生するための強い力となることを増上縁という。念仏の衆生には臨終に聖衆が来迎すること。〔一遍語録〕