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出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

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puṇya पुण्य (S)

 実に解釈が難しい語の一つである。元の意味は「福徳」と漢訳されたものと考えられているが、「功徳」と訳されている場合もある。
 「善い行い」もしくは「善い報い」のことを指すのが『増一阿含経』「清信士品」に出てくる。
 また、他者に恵みをもたらす善行や功徳を意味する、初期の経典もある。

 『大智度論』巻15では、仏の法門を「福徳門」と「智慧門」の二つに分けている。『大宝積経』巻49では、「福徳資糧」と「智慧資糧」に分けており、この福徳門・福徳資糧は「布施持戒忍辱の三波羅蜜を指している。

 ところで、漢語としての「福徳」とは、鬼神や皇帝がもたらす幸いや恵みを指しており、『漢書』孔安国伝にそのように使われている。

avacchādakatva: avacchādita: avachad: nivṛta: prati-chad: praticchanna: pratibandha: vini-guh: vṛta (S)
 おおうこと。

 如来の舌は広薄にして、若し口より出ずれば普く面輪を覆う。
 煩悩は真実義を覆うが故に名づけて蓋と為す。
 無明が如実の理を覆って真見を障う。

有覆・無覆の覆

 覆障覆蔽煩悩がさとりに至る聖なる道をおおってさまたげ(覆障)、自心をおおってふさぐ(覆蔽)という2つの働きをいう。

 何名無覆。覆、謂、覆障。体即染法。覆義如何。障聖道故。(中略)覆者、覆蔽也。蔽心、令不浄故、名為覆  〔『述記』3末、T43-334c〕

悪を隠す

 (犯した悪を)かくすこと。

 己の悪を覆することに於て羞恥を生ず。
 所犯を隠すを説いて名づけて覆と為す。

mrakṣa

 随煩悩心所の一つ。名誉や財利が失われることをおそれて自らが犯した罪を隠すこころ。

 云何為覆。於自作罪、恐失利誉、隠蔵、為性、能障不覆悔悩、為業。  〔『成論』6,T31-33b〕