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ヴェーダ

出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

ヴェーダ

「吠陀」と音写。veda वेद(sanskrit)

 アーリヤ人の伝えたインド最古の聖典群の名称。「知識」を意味するが、神の啓示と信ぜられ、婆羅門(バラモン)教徒の精神生活上の権威となっている。後に、ヒンズー教の根本経典ともなった。
 成立は、ほぼ紀元前12世紀より紀元前3世紀に至る。祭式に参加する祭官の職能に従って共時的に4種(リグ、サーマ、ヤジュル、アタルヴァ)に分かれ、通時的に4部門(サンヒター、ブラーフマナ、アーラニヤカ、ウパニシャッド)より成る。

4ヴェーダと4部門

「サンヒター」(Saṃhitā)に4つのヴェーダがある。

  • リグ・ヴェーダ(Ṛgveda)が最も重要で、神々への讃歌の中にインド宗教思想の淵源をみる。
  • アタルヴァ・ヴェーダ(Atharvaveda)は呪法をはじめとする民間信仰を伝える。
  • サーマ・ヴェーダ(Sāmaveda)は音楽史上重要である。
  • ヤジュル・ヴェーダ(Yajurveda)は祭式の実態を伝えている。

 「ブラーフマナ」(Brāhmaṇa)は祭式万能の時代思想を反映した注釈文献で、シャタパタ、ジャイミニーヤを二篇とする。祭式解釈学の典籍であり、古代インドの神話伝説が多く入っている。
 「アーラニヤカ」(Āraṇyaka)通常「森林書」と称せられる。
 「ウパニシャッド」(Upaniśad)になると、多くの哲人が登場し、インド哲学史上重要な思想を盛る。

第5のヴェーダ

 リグ・ヴェーダをはじめとする4ヴェーダに対し「第5のヴェーダ」と称する文献群があり、その中にはダヌル・ヴェーダ(武術学)、ガンダルヴァ・ヴェーダ(歌舞音曲)、アーユル・ヴェーダ(医学)などがある。

 原始仏典では史詩、プラーナ聖典などを第5のヴェーダと呼んでいる。