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=部派仏教=

　[[しゃか|釈迦]]および直弟子時代の初期仏教を継承し、インドを中心に栄えた伝統的学派を指す。新興の[[だいじょうぶっきょう|大乗仏教]]側からは、[[しょうじょうぶっきょう|小乗仏教]]と蔑称されたが、正しくは「部派仏教」あるいは「アビダルマ仏教」と呼ぶべきであろう。

　釈迦入滅後１００年、アショーカ王(前3世紀)のころ、仏教教団は保守的な[[じょうざぶ|上座部]](テーラバーダ、Theravāda、Sthaviravāda)と進歩的な[[だいしゅぶ|大衆部]](だいしゅぶ、マハーサンギカ、Mahāsāṇghika)とに分裂した。原因は不詳だが、戒律や教理の解釈の対立と思われ、これを[[こんぽんぶんれつ|根本分裂]]と呼ぶ。<br>
　以後、分派が繰り返され、上座部系１１部派と大衆部系９部派の、いわゆる「小乗２０部」が成立した。この２０部派と、これらの部派が伝えた経・律・論の教説が「'''部派仏教'''」と言われる。

　代表的な部派は、西北インドの[[せついっさいうぶ|説一切有部]](せついっさいうぶ)、中西インドの'''正量部'''(しょうりょうぶ)、西南インドの[[じょうざぶ|上座部]]の上座部系統と、南方インドの[[だいしゅぶ|大衆部]]などがある。<br>
大乗仏教から特に批判されたのは「説一切有部」である。彼らがもっとも多くの[[びく|比丘]]を擁していただけでなく、三世実有・法体恒有を主張し、存在としての[[ほう|法]]が実在するとしたから、存在が[[くう|空]]であるとした大乗仏教から批判を受けた。<br>
　スリランカに伝えられた上座部は、特に「南方上座部」と呼ばれ、ミャンマー、タイ、カンボジアなどの東南アジア諸国に伝わり今日にいたっている。<br>
　上座部系の'''法蔵部'''や[[きょうりょうぶ|経量部]]の教理は、大乗仏教の教理と一致することが多く、大乗仏教成立の起源に彼らの教理の影響があったと考えられている。

===分裂の様子===
　部派の分派の様子は、[[ほくでんぶっきょう|北伝仏教]]と[[なんでんぶっきょう|南伝仏教]]では少し異なっている。それを図示すれば以下のようになる。

: (北伝) 20部派
:大衆部─┬────────────────┬─────
:　　　　├　一説部　　　　　　　　　　　　├　制多山部
:　　　　├　[[せつしゅっせぶ|説出世部]]　　　　　　　　　　　├　西山住部
:　　　　├　鶏胤部　　　　　　　　　　　　└　北山住部
:　　　　├　多聞部
:　　　　└　説仮部
 
: [[じょうざぶ|上座部]]─┬─[[せっせんぶ|雪山部]]───────────────
: 　　　　└　[[せついっさいうぶ|説一切有部]]─┬───────────
:  　　　　　　　　　　　　 ├　[[とくしぶ|犢子部]]─┬─────
:  　　　　　　　　　　 　　│　　　　 　├　法上部─
:  　　　　　　　　　　 　　│　　　　 　├　賢冑部─
:  　　　　　　　　　　 　　│　　　　 　├　正量部─
:  　　　　　　　　　　 　　│　　　　 　└　密林山部
:  　　　　　　　　　　 　　├　[[けじぶ|化地部]]─┬─────
:  　　　　　　　　　　 　　│　　　　 　└　[[ほうぞうぶ|法蔵部]]─
:  　　　　　　　　　　 　　├　飲光部───────
:  　　　　　　　　　　 　　└　[[きょうりょうぶ|経量部]]───────

: (南伝) 18部派
: 大衆部─┬─────────────────────────────
:  　　　 ├　鶏胤部───┬─────────────────────
:  　　　 │　　　　　 ├　多聞部─────────────────
:  　　　 │　　　　　 └　説仮部─────────────────
:  　　　 ├　一説部─────────────────────────
:  　　　 └　制多山部────────────────────────
  
: 上座部─┬─────────────────────────────
:  　　　 ├　化地部─┬───────────────────────
:  　　　 │　　　　 └説一切有部┬─────────────────
:  　　　 │　　　　　　　　　　└飲光部┬─────────────
:  　　　 │　　　　　　　　　　　　　 └説転部┬─────────
:  　　　 │　　　　　　　　　　　　　　 　　 ├経量部──────
:  　　　 │　　　　　　　　　　　　　　　　　└法蔵部──────
:  　　　 └　犢子部─┬───────────────────────
:  　　　　　　　　 ├法上部────────────────────
:  　　　　　　　　 ├賢冑部────────────────────
:  　　　　　　　　 ├密林山部───────────────────
:  　　　　　　　　 └正量部────────────────────
 
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