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ぼだいじゅ

出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

菩提樹

bodhi-druma (S)

 釈尊がこの樹の下で悟りを開いたという樹。畢鉢羅樹(Pippala) とも、アシュヴァッタ(Aśvattha)樹ともいわれる。

 インドボダイジュはクワ科の熱帯生の常緑樹で、釈尊がこの樹の下で悟りを開いたとしてよく知られている。

 中国日本でボダイジュと呼ばれるものは、学名「Tilia miqueliana Maxim.」であり、シナノキ科の落葉高木。幹は灰褐色、小枝は細毛が密生する。葉は互生し、ゆがんだ三角状卵形で、長さ5~10センチメートル。先はとがり、基部は斜めの切形(せっけい)または浅い心臓形で、縁(へり)には鋭い鋸歯(きょし)がある。裏面と葉柄に灰白色の細星毛が密生する。6~7月、葉腋(ようえき)から下向きに長い柄のある散房状の集散花序を出す。柄には狭いへら形の包葉が1枚ある。花は小さく淡黄色で香りが高く、シナノキの香りに似る。養蜂(ようほう)の蜜源(みつげん)植物としてよく知られる。花弁、萼片(がくへん)はともに5枚、雄しべは多数、雌しべは1本。果実は小球形で、長さ7~8ミリメートルの核果になり、細毛が密生する。
 適潤地を好み、成長が速い。繁殖は実生(みしょう)により、10~10月に取播(とりま)きをする。中国原産で、寺院などによく植えられる。

 仏教でいう菩提樹は本来インドボダイジュであるが、熱帯生のため中国では育たず、葉形が似ているシナノキ科のボダイジュが代用された。
 『東大寺造立供養記』(1195)には、菩提樹を東方の土地の庭前に移し換えたと記されており、また栄西が中国の天台山万年寺で菩提樹の種子を播(ま)いたのを持ち帰り、香椎宮(かしいぐう)に建久(けんきゅう)元年(1190)に植えたとの記録(『大和本草(やまとほんぞう)』1709)もあるが、これはインドボダイジュではない。
 菩提樹の種子は菩提子(ぼだいし)とよばれ、古くから仏教の行事に用いられた。しかしインドボダイジュの種子はごく小さく、『仏教校量数珠功徳(じゅずくどく)』にある「菩提子の数珠をもって一誦(いっしょう)すれば功徳無量倍」とされる菩提樹の数珠玉(種子)はインドボダイジュのものではなく、ボダイジュまたはホルトノキ科のジュズボダイジュElaeocarpus sphaericus (Gaertn.) K. Schum. =E. ganistris Roxb.のものである。