じっそう
出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』
實相
実とは虚妄にあらざる義、相とは無相なり。是れ萬有の本体を指称せる語なり。
法性と云ふも眞如と云ふも実相と云ふも其体同一なり。萬法の体性となる義に就ては法性と云ひ、其の体真実にして常住なる義に就ては眞如と云ひ、此の真実にして常住なるが萬法の実の相なる義に就て実相と云ふ。
其の他一実、一如、一相、無相、法身、法證、法位、涅槃、無爲、眞諦、眞性、眞空、実性、実諦、実際と云ふ。皆是れ実相の異名なり。又名随徳用の三諦に依れば、空諦を眞如と云ひ、仮諦を実相と云ひ、中諦を法界と云ふ。
此中、法華は実相を説き、華厳には法界を説き、解深密には眞如または無爲を説き、般若には般若佛母を説き、楞伽には如來蔵を説き、涅槃には佛性を説き、阿含には涅槃を説く。而して華巌の始数、天台の通教已下に在りては不変の空眞如を実相とし、華厳の終教已上天台の別教已上に在りては不変随縁の2相を実相とす。而して華嚴は随縁の萬法を実相とし、天台眞言は性具の諸法を実相とし、小乗は我空の涅槃を、大乗は我法二空の涅槃を実相とす。
【維摩綴弟子品】に「迦旃延無下以2生滅ノ心行1説中実相法上。」
【同観衆生品】に「佛爲2実相法ノ人1。」
【涅槃経40】に「無相之相名爲2実相1。」
【妙玄2上】に「実相之境非2佛天人所作1。本自有レ之非レ遍レ今也。」
【法華文句記4中】に「言2実相1者。非レ虚故実。非相爲レ相ノ。故名2実相1。」