ぎきょう
出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』
偽經
インド以外の地域、特に中国において、名を仏説に借りて偽作した経典。インドで偽作された経典は偽経とはよばれない。〔黒谷上人語燈録〕
疑經
偽経ではないかと疑われている経典。由緒伝来に疑いのある経。
『般若経』などには大乗経を悪魔の説とそしったものがあると伝えている。これも一種の疑経説であるが、一般に疑経とは、仏教を普及する目的で、俗信仰、あるいは正統仏教とは別種の思想・行儀などをまじえて説いた経をいう。
制作地は、西域・南海にわたるが、中国では、主として中国で制作された経をさし、前秦道安の『綜理衆経目録』にすでに疑経録があり、唐の『貞元新定釈教目録』には、疑惑再詳録に14部19巻、偽妄乱真録に393部1,041巻を列挙している。
疑経と認められたものは、大蔵経から除外され、その大部分は散逸したが、若干は大蔵経の中に紛れ込み、若干は敦煌出土本、または日本の古寺の蔵本などに存し、その逸文は『法苑珠林』その他に相当多く見出される。
疑経は『十王経』『高王観音経』のように通俗信仰を鼓吹するもの、末世思想にもとづく『像法決疑経』、為政者勧誠を目的とすると思われる『仁王般若経』、禅宗の伝統に関する『大梵天王問仏決疑経』など、制作の動機は多様である。
日本では『延命地蔵経』『不動経』『三身寿量無辺経』などが偽作されたが、その数は中国に比べて少ない。