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げんこうしゃくしょ

出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

元亨釈書

30巻。虎関師錬の著(元亨2、1322)
 欽明朝から700余年間にわたる日本の高僧の伝記をあつめて評論し、および仏教の史実を編年的に略記した書。梁・唐・宋の高僧伝や釈門正統の形式を参考にし、また中国の正史の例にならって、十伝.一表・十志から構成されている。
 十伝とは、高僧などの伝記をその人の特徴によって10に分類して集めたもので、伝智(巻1・2)、慧解(巻2-5)、浄禅(巻6-8)、感進(巻9-12)、忍行(巻12)、明戒(巻13)、檀興(巻14)、方応(巻15)、力遊(巻16)、願雑(これを古徳・王臣・士庶・尼女・神仙・霊恠の6にわける。巻16-19)とし、計435人を収める。
 一表とは資治表(巻20-26)で、欽明天皇元年から承久3年(1221)までの、官府に関係のある仏教の史実を記す。十志とは、学修・度受・諸宗・会儀・封職(以上巻27)、寺像(巻28)、音芸・拾異(以上巻29)、黜争・序説(以上巻30)の各志で、それぞれの事跡を記録する。

 なお、巻首には本書を後醍醐天皇に奉った表を掲げ、巻末には略例と智通論を付す。

 貞治3年(1364)単況が宋版に模して刊行しようとし、永和3年(1377)にこれを完成したが、この版木は永徳2年(1382)に焼亡したので、至徳元年(1384)再彫が計られ明徳2年(1391)に完成した。慶長10年(1603)木活字となり、寛永元年(1624)至徳・明徳本を翻刻した。