しちくう
出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』
七空
- 性空とは、一切諸法の性は、本来常に自ら空なり。何に況んや現在の因縁の常に空なるをや。何に況んや、果報をや。自相空とは、諸法の総相、別相は、尽く其の空を観ずれば、心則ち遠離す。是の二空を用うるに、諸法は皆な空なり。是れを諸法空と名づく。性空に従うが故に相あり、相は空なるが故に諸法は皆な空なり。諸法は空なるが故に更に所得無し、是れを不可得空と名づく。是の四種の空を用いて、一切の有法を破せんに、若し有法有相を以て、過と為す者は、無法を取る。是の故に無法空を説く。若し無法を以て非と為さば、還た有法を取らんと欲す。是の故に有法空を説く。先に四空を説いて有法を破すと雖も、行者の心は、則ち有を離れて、無に存す。是に則ち無法空を説く。若し無法を非と為すと説かんに、心に寄る所無く、還って有を存せんと欲す。是の故に略して有法空を説く。有を存するの心薄きを以ての故なり。無法有法空とは、行者は無法空を以て非と為し、心に還って有を疑い、若し心に有を観じては、還って無法を疑う。是の故に有無倶に其の空を観ずること、内外の空観の如し。是れを以ての故に但だ七空を説く 〔大智度論巻36 T25-327b〕