じきょう
出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』
慈経
Metta Suttam (P)
1.
Karaṇīyam atthakusalena yan taṃ santaṃ padaṃ abhisamecca;
Sakko ujū ca sūjū ca suvaco c'assa mudu anatimānī.
[解脱という]目的をよくわきまえた人が、静かな場所へ行ってなすべきことがあります。何事にもすぐれ、しっかりして、まっすぐでしなやかで、人の言葉をよく聞き、柔和で、高慢でない人になるように。
2.
Santussako ca subharo ca appakicco ca sallahukavutti;
santindriyo ca nipako ca appagabbho kulesu ananugiddho.
足ることを知り、手が掛からず、雑務少なく、簡素に暮らし、諸々の感覚器官が落ち着いていて、賢明で、裏表がなく、在家に執着しないように。
3.
Na ca khuddaṃ samācare kiñci yena viññū pare upavadeyyuṃ;
sukhino vā khemino hontu sabbe sattā bhavantu sukhitattā.
智慧ある識者たちが批判するような、どんな小さな過ちも犯さないように。幸福で平安でありますように。生きとし生けるものが幸せでありますように。
4.
Ye keci pāṇabhūt'atthi tasā vā thāvarā vā anavasesā;
dīghā vā ye mahantā vā majjhimā rassakā aṇuka_thūlā.
いかなる生命であろうともことごとく、動き回っているものでも、動き回らないものでも、長いものでも、大きなものでも、中くらいのものでも、短いものでも、微細なものでも、巨大なものでも、
5.
Diṭṭhā vā ye vā addiṭṭhā ye ca dūre vasanti avidūre;
bhūtā vā sambhavesī vā sabbe sattā bhavantu sukhitattā.
見たことがあるものもないものも、遠くに住むものでも、近くに住むものでも、既に生まれているものも、卵など、これから生まれようとしているものも、生きとし生けるものが幸せでありますように。
6.
Na paro paraṃ nikubbetha nātimaññetha katthacinaṃ kañci;
vyārosanā paṭighasaññā nāññamaññassa dukkham iccheyya.
どんな場合でも、ひとを欺いたり、軽んじたりしてはいけません。怒鳴ったり、腹を立てたり、お互いにひとの苦しみを望んではいけません。
7.
Mātā yathā niyaṃ puttaṃ āyusā ekaputtama nurakkhe;
evam pi sabbabhūtesu mānasam bhāvaye aparimāṇaṃ.
あたかも母が、たった一人の我が子を、命がけで守るように、そのようにすべての生命に対しても、無量の[慈しみの]心を育ててください。
8.
Mettañ ca sabbalokasmiṃ mānasam bhāvaye aparimāṇaṃ;
uddhaṃ adho ca tiriyañ ca asambādhaṃ averaṃ asapattaṃ.
慈しみの心を一切世間(すべての生命)に対して、限りなく育ててください。上に、下に、横(周り)に[棲む如何なる生命に対して]も、わだかまりのない、怨みのない、敵意のない心を育ててください。
9.
Tiṭṭhaṃ caraṃ nisinno vā sayāno vā yāvat'assa vigatamiddho;
etaṃ satiṃ adhiṭṭheyya brahmam etaṃ vihāraṃ idham āhu.
立っている時も、歩いている時も、坐っている時も、あるいは横になっていても眠っていない限り、この[慈悲の]念をしっかり 保っていてください。これが梵天(崇高なもの)の生き方であると言われています。
10.
Diṭṭhiñ ca anupagamma sīlavā dassanena sampanno;
kāmesu vineyya gedhaṃ na hi jātu gabbhaseyyaṃ punaretī ti.
[このように実践する人は] 邪見を乗り越え、常に戒を保ち、正見を得て、諸々の欲望に対する執着をなくし、もう二度と母体に宿る(輪廻を繰り返す)ことはありません。
祈願文
Patthanā (P)
Etena sacca vajjena pātu naṃ ratanattayaṃ
この真理の言葉の力によって我らは三宝に守られますように。
Etena sacca vajjena hotu no jaya maṅgalaṃ.
この真理の言葉の力によって我らは幸福でありますように。
Etena sacca vajjena sadā sotthi bhavantu no.
この真理の言葉の力によって我らは常に安穏でありますように。
※ 護経として読経する場合は以下の文言を唱える。
Etena sacca vajjena pātu tvaṃ ratanattayaṃ
この真理の言葉の力によってあなた(がた)に三宝のご加護がありますように。(三唱)