たりりた
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他利利他
- しかるに覈に其の本を求むるに、阿弥陀如来を増上縁となす。他利と利他と、談ずるに左右あり。もし仏よりしていはば、よろしく利他といふべし。衆生よりしていはば、よろしく他利といふべし。〔論註、p.155〕
曇鸞の『往生論註』に述べられている他利と利他との意味を考察し、他利と利他とは造語に相違があるけれども、その深義は、衆生が五念門を修して、すみやかに無上正等覚をさとりうるのは、その原因も結果も、阿弥陀仏が本願力により廻向してくれるものだからである、ということ。他力往生の宗旨を表わす真宗の説である。
宗師(曇鸞)は大悲往還の回向を顕示して、ねんごろに他利利他の深義を弘宣したまへり。仰いで奉持すべし、ことに頂戴すべしと。〔証巻、p.335〕
論主(天親)は広大無碍の浄信を宣布し、あまねく雑染堪忍の群生を開化す。宗師(曇鸞)は往還大悲の回向を顕示して、ねんごろに他利・利他の深義を弘宣せり。聖権の化益、あまねく一切凡愚を利せんがため、広大の心行、ただ逆悪闡提を引せんと欲してなり。〔文類聚鈔、p.484〕