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だいごみ

出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

醍醐味

mzNDa (skt.)

 本来、この言葉は五味の一つとして非常に美味なもののことをいう。
 すなわち、インドでは乳を精製してゆく過程に五つの段階を立てて、それを①乳味、②酪味、③生酥味、④熟酥味、⑤醍醐味とする。

 『涅槃経』には、この五味を説いて、この『涅槃経』に説くところを醍醐味にたとえている。そこでは醍醐とはいっさいの病を治す薬といわれている。すなわち、いっさいの人々の迷いの病を除去するものということである。
 天台宗では、この五味を自分の宗旨で説く五時の教判にあわせて、『法華経』『涅槃経』の説法こそ、いっさいの人々の迷いを治して悟りを開かしめるものとして、それを醍醐味にたとえている。

 このように初めには衆病をいやす薬として考えられていたものが、最高の味のあるものという意味に転用され、さらに、これから、人生における深い味わいというような意味にかわってきたと思われる。
 もっとも、原語の「マンダ」の意味については、十分はっきりしていないが、牛乳のもっともすぐれたものという意味を示している。「マンダ」が、油様のものの上澄の意味をもつのは、このような、もっとも精製されたものの意味であろう。