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=方等=
vaipulya (skt.) 原語は「毘仏略(びぶつりゃく)」と音写し、「方等」「[[ほうこう|方広]]」などと訳される。

　「広大な、大いに増広(ぞうこう)発展せしめられた」という意味。原始仏典の分類である[[くぶきょう|九部経]]・[[じゅうにぶきょう|十二部経]]の一で、教義を広説展開したものをいう。

　[[だいじょうぶっきょう|大乗仏教]]では[[しょうじょうぶっきょう|小乗仏教]]には方等はないとして、区別して「大方等」「大方広」などという。このことから[[だいじょうきょうてん|大乗経典]]の呼称とし、「[[ほうどうきょう|方等経]]」「方広大乗」などという。

:於十二分教中、除方広分、余名声聞相応契経。即方広分、名大乗相応契経。　　　　〔[[ゆがしじろん|瑜伽師地論]]８５ T30-773a〕

:何等方広。謂、菩薩藏相応言説。如名方広、亦名広破、亦名無比。為何方広。一切有情利益安楽所依処故、宣説広大甚深法故。為何義故名為広。破以能広破一切障故。為何義故名無比。無有諸法能比類故。　　　　〔[[だいじょうあびだつまじゅうろん|大乗阿毘達磨集論]]６ T31-686b〕

:[[てんだい|天台]]教学で説く[[ごじはっきょう|五時八教]]中の第三時、「方等時」のことを指す場合が多いので、注意が必要である。

=法堂=

　禅宗では「[[はっとう]]」と読むことが多い。

　禅宗以外で「講堂」に相当する建物。'''法堂'''の語そのものは古くから使われおり、新訳[[けごんきょう|華厳経]](75)に
:その時、善財童子まさに法堂に昇らんとす　　　　〔T9-755a〕
とあり、[[ほけきょう|法華経]](法師功徳品)には「妙法堂(みょうほうどう)」の語がある。

　インド一般にこのような建物をdharmaśālāと呼ぶが、サンスクリット仏典に出てくる例はほとんどない。

=法幢=
　仏法のこと。幢ははたぽこ。仏法を旗にたとえたもの。はたぼこ。旗。みのりの旗。真理の旗。仏法の旗じるし。<br>
　猛将が幢旗を建てて敵を伏せしめるように、仏・菩薩が説法の標繊として建てる幢旙をいう。仏・菩薩の説法のすぐれたことをたとえたもの。　　　〔無量寿経 T12-266a〕〔日本霊異記 中〕
:　諸仏菩薩建<sub>2</sub>立法幢<sub>1</sub>猶如<sub>R</sub>猛勝建<sub>2</sub>諸種幟<sub>1</sub>降<sub>C</sub>伏一切諸魔軍<sub>L</sub>　　　〔祖庭事苑〕

　禅宗では、今日ここに説法があると布告する旗幟をいう。大法の所在を表明するしるしである。現今も各寺の結制安居を「建法幢」という。〔碧巌録214〕〔禅苑清規　序〕〔証道歌〕
:　建<sub>2</sub>法幢<sub>1</sub>立<sub>2</sub>宗旨<sub>1</sub>。明明仏勅曹渓是也　　　〔証道歌〕

　小さい旗を上部につけたほこの頭に、龍の頭の飾りをつけ、垂れ絹を垂らしたもの。〔今昔物語3-27〕