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=大乗終教=
　華厳の教判である「五教十宗」の一つ。大乗の終極の教え。

　漸教の中の終教であるから、その後に大乗窮極の教えとしての[[だいじょうとんぎょう|大乗頓教]]や[[えんぎょう|円教]]がある。終教は、始教よりも深い教えという意味である。<br>
　[[だいじょうしきょう|始教]]が[[ほう|法]]を区別して理解するのに対し、終教は法の相互の間の連続を見る。たとえば、人間が悪人から善人に変わる場合、そこに悪から善へのつながりがなければならない。すなわち善と悪とは、一面では隔絶しているが、同時に、他面においてはつながっていると見なければならない。善と悪との連続を認めないと、悪人が善人に変わり、迷っている人が悟ることは不可能になるからである。すなわち、善と悪、迷いと悟り、[[しょうじ|生死]]と[[ねはん|涅槃]]などを区別する立場から法を説くのが「始教」であるのに対し、両者の連続の面、[[そうそく|相即]]の面を重視して法を説くのが「終教」である。<br>
　故に終教は、[[ぼんのうそくぼだい|煩悩即菩提]]や、[[めいごふに|迷悟不二]]を説く『[[ゆいまきょう|維摩経]]』のように、即・不二を説くことがその特色となる。あるいは「[[にょらいぞう|如来蔵]]」を説く経典のように、最初から「悟り」を前提とする教えとなる。[[ぶっしょう|佛性]]や如来蔵を前提とすると、それと現実の凡夫の迷い・煩悩とが、いかに相即するかという問題が起り、「不二・即」の思想を考えざるをえない。如来蔵は「在編修の法身」といわれ、佛性が煩悩に取り巻かれている時をいうのである。如来蔵の教理は『[[しょうまんぎょう|勝鬘経]]』や『[[りょうがきょう|楞伽経]]』に説かれ、さらに『[[ほうしょうろん|宝性論]]』や『[[だいじょうきしんろん|大乗起信論]]』に体系的に示されている。