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=仏教=
　[[ゴータマ・シッダッタ]]が提唱した[[しゅうきょう|宗教]]。本来の教えには神は存在せず、単なる宗教というより'''考え方'''または'''在り方'''の側面が強いとも言える。

　特に初期の仏教では出家をして修行をして仏陀と同じ境地である[[ぶつだ|仏陀]](覚者)になることを目指した。

　その後、[[だいじょうぶっきょう|大乗仏教]]の考え方が広まり、[[しゅっけ|出家]]をすることなく[[ざいけ|在家]]のままでも仏陀の教えが与えられることになった。日本に伝わっているのはこの大乗仏教である。大乗仏教以前の形は[[タイ]]を始め[[とうなんあじあ|東南アジア]]の仏教に広く残っている。大乗仏教以前の仏教は、「自己の救いのみを目的としている」として、大乗仏教側から[[しょうじょうぶっきょう|小乗仏教]]とさげすんで呼ばれることとなった。

　しかし、本来の根底にあるのは'''無'''であり、具体な[[シンボル]]は無い。が、現在の仏教では[[ぶつぞう|仏像]]などさまざまな具体がある。

==関連項目==
*[[ぶっきょうゆうごいちらん|仏教用語一覧]]
*[[にほんぶっきょう|日本仏教]] | [[ちゅうごくぶっきょう|中国仏教]] | [[かんこくぶっきょう|韓国仏教]]
*[[いんどぶっきょう|インド仏教]] [[すりらんかぶっきょう|スリランカ仏教]]
*[[とうなんあじあぶっきょう|東南アジア仏教]]
*[[ぜん|禅]]
*[[ぶっきょういせき|仏教遺跡]]

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=仏教=
buddha-&#x015b;&#x0101;sana (skt.)

　紀元前５世紀ころ、インドの[[しゃか|釈迦]] (ガウタマ・シッダールタ、ゴータマ・シッダッタ)によって創唱された教えで、キリスト教、イスラムと並ぶ世界三大宗教の一つ。現在、
# [[スリランカ]]、[[タイ]]などの東南アジア諸国
#* [[前3世紀]]に伝道されたスリランカを中心に広まった[[なんでんぶっきょう|南伝仏教]](南方仏教)。パーリ語仏典を用いる[[じょうざぶぶっきょう|上座部仏教]]
# [[ちゅうごく|中国]]、[[ちょうせんはんとう|朝鮮半島]]、[[にほん|日本]]などの東アジア諸国
#* インド北西部から中央アジアを経て広まった[[ほくでんぶっきょう|北伝仏教]]で、[[かんやくぶっきょう|漢訳仏典]]を基本とする[[だいじょうぶっきょう|大乗仏教]]
# [[チベット]]、[[モンゴル]]などの内陸アジア諸地域
#* 後期に[[ネパール]]などを経て伝わった大乗仏教で、[[チベット]]語訳の仏典を用いる
などを中心に約５億人の教徒を有し、アメリカやヨーロッパにも教徒や思想的共鳴者を得ている。<br>
　これらの諸地域の仏教は、歴史と伝統を異にし、教義や教団の形態もさまざまであるが、いずれもみな、'''釈迦'''を[[ぶっだ|仏陀]](buddha)と崇拝し、その教え([[ほう|法]])を聞き、[[ぜんじょう|禅定]](ぜんじょう)などの実践修行によって悟りを得、[[げだつ|解脱]](げだつ)することを目標とする。なお、発祥のインドでは１３世紀に教団が破壊され、ネパールなどの周辺地域を除いて消滅した。しかし、現代になって'''新仏教徒'''と呼ばれる宗教社会運動が起こって復活した。また、欧米の宗教活動は、日本から伝わった'''禅'''、スリランカの[[だいぼだいえ|大菩提会]](だいぼだいえ)、およびチベット人移民による教化が主なものである。

===宗教的特色===
　釈迦在世時のインドでは、正統派の宗教家たる[[ばらもん|婆羅門]] (バラモン、brāhmaṇa (skt.))と並んで、[[しゃもん|沙門]] (しゃもん、シュラマナ、śramaṇa (skt.))と呼ばれる多種多様な宗教家、思想家がおり、なんらかの方法で[[りんね|輪廻]] (サムサーラ、saṃsāra (skt.))からの[[げだつ|解脱]] (モクシャ、mokṣa (skt.))を求めて修行し、その道を説いていた。<br>
　釈迦もまた、出家遊行して乞食によって生活する沙門の道を選び、また修行方法として、身心を苦しめる苦行の代りに、精神の統一、安定によって真理を感得する[[ぜんじょう|禅定]] (dhyāna (skt.))を採用した。<br>
　真理の感得とは真実をありのままに観察することである([[はっしょうどう|八聖道]]参照)。これが'''悟り''' (bodhi (skt.))で、それによって'''生死輪廻の苦から解脱'''する。これが[[ねはん|涅槃]] (nirvāṇa (skt.))という究極の目標である。釈迦の方法は、一方で自然的欲望のままにする快楽主義を否定し、苦行を捨てる点で、両極端を離れた[[ちゅうどう|中道]] (madhyamā (skt.))と呼ばれる。

　釈迦は、人生問題の解決に直接役に立たない形而上学的問題 (例えば世界の有限・無限、創造因など)には、質問にも答えず([[むき|無記]])、判断を中止している。釈迦は合理的で、自らの立場を病いに応じて薬を施す医者にたとえている。つまり、苦悩を観察し、その原因をつきとめ、これを断つための方法を教えるのが任務であるとする。これは、
# 苦
# 苦を集めるもの (原因)
# 苦の滅
# 苦の滅に至る道 ([[はっしょうどう|八正道]])
という四つの項目 [[したい|四諦]]にまとめられ、仏教の基本とされる。 

　仏教では真理を悟ることが直接の目標である。そこで、悟りの完成者たる'''仏陀''' ([[ぶつ|仏]]、覚者)はその理想像となる。'''真理'''は永遠不変の絶待的価値で、釈迦はただそれを発見し、人々にそれに至る道を教えた指導者とも考えられる。我々はその教えに従い、'''仏陀'''とななろうと修行するのである。真理が絶待であり、仏陀を通じて開顕されるので、真理がキリスト教などの「神」に代わるものである。しかし、教主としての'''仏陀'''はキリスト同様一人なのだが、覚者になることが我々にも開かれているのは、絶待者が非人格的な真理である点とともに、仏教の特色である。ここでいう'''釈迦'''が悟った'''真理'''を仏教では'''法''' (dharma (skt.))と呼び、仏の教えもその真理を内容とするから、同じく'''法'''と呼ばれる。

====大乗仏教の発生====
　'''釈迦入滅後'''、弟子や信者たちによって状況は大きく変わっていく。<br>
　百年ほど経った頃から、釈迦を'''神格化'''する動きが見られる。仏陀に対する崇拝はもともと在家の信者の間に強かったが、仏塔（墓、stūpa）をまつることを通じて高まった（[[ぶっとうすうはい|仏塔崇拝]]）。この動きを基点とする[[だいじょうぶっきょう|大乗仏教]]が、紀元前後に起こってきた。'''大乗仏教'''では過去仏や未来仏と並んで、この世界の周囲に無数の諸仏とその世界（仏国土、浄土）の存在を認めた。その諸仏は、衆生済度の[[せいがん|誓願]]を立てて修行して仏となり、衆生を救うためにその姿を現したとして崇拝された。代表的には、西方極楽浄土の'''[[あみだ|阿弥陀]]仏'''などがあげられる。しかし大乗仏教でも、[[ほう|法]]（真理）の絶待性は無視されず、仏は'''真理の体現者'''（[[にょらい|如来]]）とされる。仏の本質は'''法そのもの'''で（[[ほっしん|法身]]）、諸仏はその'''具体的顕現'''である（[[しきしん|色身]]）とされた。<br>
　修行の目標としての'''さとり'''を、絶待者たる'''法'''との合一に求めるのは、バラモン教正統のベーダーンタ学派が主張する「梵我一如」とも共通するが、ことに[[いんどぶっきょう|インド仏教]]の最後期に発達した[[みっきょう|密教]]において著しい。

====諸民族との集合====
　仏教はインド外の諸地域に発展するにつれて、それぞれの地域、民族の信仰や儀礼などと習合し、それらを仏道の方便と認めたため、かなり大きく変質した。これは一つには、ヒンドゥー教とも共通するインド思想の宗教的寛容性によるが、仏教が本質的に非人格的な真理を絶対とし、万象にその具現を見いだす、いわゆる汎神論的宗教であることにも由来する。

===基本的教理===
　釈迦が悟り、後世の人に説いた'''法'''とは、しばしば''[[しょぎようむじょう|諸行無常]]''(しょぎょうむじょう)、''[[しょほうむが|諸法無我]]''(しょほうむが)、''[[いっさいかいく|一切皆苦]]''(いっさいかいく)、''[[ねはんじゃくじょう|涅槃寂静]]''(ねはんじゃくじょう)の四句に要約される。これを[[しほういん|四法印]]と呼び、一切皆苦を除いて[[さんぼういん|三法印]]ともいう。<br>
　前三句は日常経験している世界の諸現象に関する真理である。
# 諸現象は変化してとどまることがない。止まることがないから、現象することができる。
# 諸現象はすべて[[いんねん|因縁]]によって起こり、相依相関関係によってなりたっている。
# このような世界で、人間は無常・無我なものを、常住なもの独立したものと執着するために、「苦」を感じてしまう。何より、自らの老病死に臨んでもっとも大きな「苦」を感じる。
　'''無常'''であり、'''無我'''であるのがものの真実の姿([[じっそう|実相]])であり、それを認められないところに'''苦'''が生じる。さとりによって苦ではなくなるが、無常であり、無我である事実に変りはない。

　この苦の滅をあらわしたのが、第四の'''涅槃寂静'''であり、[[ねはん|涅槃]]とは苦悩を起こす根源である欲望(＝[[ぼんのう|煩悩]])がなくなった状態と説明される。

　この内容を組織的に説明するのが、前述の'''四諦'''である。
# 苦諦(くたい)　　人生には[[しょうろうびょうし|生老病死]]の[[しく|四苦]]のほか、愛しい人に別れ、怨み憎しみある者に出会い、求めるものは得られず、この身は無常な諸要素([[ごうん|五蘊]](ごうん))の集合にすぎない、という[[はっく|八苦]]がある、と説明される。
# 集諦(じったい)　この苦を起こす原因としては、[[ぼんのう|煩悩]]と総称される心のけがれ(むさぼり、にくしみ、無知など)がある。無知とは無常、無我といった真実を知らないこと([[むみょう|無明]](むみょう))で、ときにはこれが悪の根源とみなされる。欲望や執着はすべてこの無知の結果おこるとみる。
# 滅諦(めったい)　苦の滅、涅槃寂静が理想であること。これは無知がなくなったとき、つまり真実を知ったとき、悟ったときに実現する。
# 道諦(どうたい)　苦の滅を達成するために実践すべき道で、八種ある('''八正道''')。
この四諦とその行法である八正道を

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