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:いかんがかの仏国土の荘厳功徳を観察する。かの仏国土の荘厳功徳は'''不可思議力'''を成就せるがゆゑなり。かの摩尼如意宝の性のごときに相似相対の法なるがゆゑなり。〔浄土論、p.33〕 | :いかんがかの仏国土の荘厳功徳を観察する。かの仏国土の荘厳功徳は'''不可思議力'''を成就せるがゆゑなり。かの摩尼如意宝の性のごときに相似相対の法なるがゆゑなり。〔浄土論、p.33〕 | ||
+ | 「不思議力」というのは、すべてかの仏国土の十七種の特相のしつらいの力、これがわれわれにとって思いはかることができないのをいう。<br> | ||
+ | ここでは、浄土の本性・土徳が、三厳二十九種のしつらいとなって、われわれに示されているから、これらのしつらいを観察することは、そのまま浄土の本性をさとることに外ならない。浄土の本性を、曇鸞は仏国土の不可思議力によって説明し、それに大願業力と善住持力の2つを数えている。<br> | ||
+ | つまり、浄土は如来の仏力の全顕であるということである。言い換えれば、「真実」がみずからを「真実の力用」において顕示している、といってよい。 | ||
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+ | # 清浄を特相とする円かなしつらい(清浄功徳荘厳成就)。 | ||
+ | # 無鐙を特相とする円かなしつらい(量功徳荘厳成就)。 | ||
+ | # 性を特相とする円かなしつらい(性功徳荘厳成就)。 | ||
+ | # 形相を特相とする円かなしつらい(形相功徳荘厳成就)。 | ||
+ | # 種々の事物を特相とする円かなしつらい(種々事功徳荘厳成就)。 | ||
+ | # 妙なるものを特相とする円かなしつらい(妙色功徳荘厳成就)。 | ||
+ | # 接触作用を特相とする円かなしつらい(触功徳荘厳成就)。 | ||
+ | # 三種のもの〔水・地・虚空〕を特相とする円かなしつらい(三種〔水・地・虚空〕功徳荘厳成就)。 | ||
+ | # 〔香華・衣服を〕雨ふらすことを特相とする円かなしつらい(雨功徳荘厳成就)。 | ||
+ | # 光明を特相とする円かなしつらい(光明功徳荘厳成就)。 | ||
+ | # 妙なる音声を特相とする円かなしつらい(妙声功徳荘厳成就)。 | ||
+ | # 仏国土の主を特相とする円かなしつらい(主功徳荘厳成就)。 | ||
+ | # 聖衆を特相とする円がなしつらい(眷属功徳荘厳成就)。 | ||
+ | # 法味の受用を特相とする円かなしつらい(受用功徳荘厳成就)。 | ||
+ | # 無苦難を特相とする円かなしつらい(無諸難功徳荘厳成就)。 | ||
+ | # 大乗菩薩道の完成を特相とする円かなしつらい(大義門功徳荘厳成就)。 | ||
+ | # すべての願いをかなえることを特相とする円かなしつらい(一切所求満足功徳荘厳成就)。 | ||
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+ | 上巻の総説分における17種のしつらいを解釈するに当って、曇鸞はその一つ一つに、「'''仏もと此の荘厳功徳を起こしたもう所以は'''」と、なぜにしつらいを起こしたもうたかの理由を挙げて説明している。以下の解義分における十七種のしつらいの解釈では、その一つ一つに「'''此れ云何んが不思議なる'''」と出して、それぞれのしつらいが、なぜわれわれの思議を超えたものであるのかという観点から説明している。<br> | ||
+ | これは、法蔵菩薩の因位と、および阿弥陀仏となって利他行にふみ出す果位との二つを望んだ解釈法といってよい。 | ||
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2025年3月10日 (月) 10:27時点における版
荘厳成就
『浄土論註』に説かれている仏国土の体相を説いている。
- いかんがかの仏国土の荘厳功徳を観察する。かの仏国土の荘厳功徳は不可思議力を成就せるがゆゑなり。かの摩尼如意宝の性のごときに相似相対の法なるがゆゑなり。〔浄土論、p.33〕
「不思議力」というのは、すべてかの仏国土の十七種の特相のしつらいの力、これがわれわれにとって思いはかることができないのをいう。
ここでは、浄土の本性・土徳が、三厳二十九種のしつらいとなって、われわれに示されているから、これらのしつらいを観察することは、そのまま浄土の本性をさとることに外ならない。浄土の本性を、曇鸞は仏国土の不可思議力によって説明し、それに大願業力と善住持力の2つを数えている。
つまり、浄土は如来の仏力の全顕であるということである。言い換えれば、「真実」がみずからを「真実の力用」において顕示している、といってよい。
- 清浄を特相とする円かなしつらい(清浄功徳荘厳成就)。
- 無鐙を特相とする円かなしつらい(量功徳荘厳成就)。
- 性を特相とする円かなしつらい(性功徳荘厳成就)。
- 形相を特相とする円かなしつらい(形相功徳荘厳成就)。
- 種々の事物を特相とする円かなしつらい(種々事功徳荘厳成就)。
- 妙なるものを特相とする円かなしつらい(妙色功徳荘厳成就)。
- 接触作用を特相とする円かなしつらい(触功徳荘厳成就)。
- 三種のもの〔水・地・虚空〕を特相とする円かなしつらい(三種〔水・地・虚空〕功徳荘厳成就)。
- 〔香華・衣服を〕雨ふらすことを特相とする円かなしつらい(雨功徳荘厳成就)。
- 光明を特相とする円かなしつらい(光明功徳荘厳成就)。
- 妙なる音声を特相とする円かなしつらい(妙声功徳荘厳成就)。
- 仏国土の主を特相とする円かなしつらい(主功徳荘厳成就)。
- 聖衆を特相とする円がなしつらい(眷属功徳荘厳成就)。
- 法味の受用を特相とする円かなしつらい(受用功徳荘厳成就)。
- 無苦難を特相とする円かなしつらい(無諸難功徳荘厳成就)。
- 大乗菩薩道の完成を特相とする円かなしつらい(大義門功徳荘厳成就)。
- すべての願いをかなえることを特相とする円かなしつらい(一切所求満足功徳荘厳成就)。
上巻の総説分における17種のしつらいを解釈するに当って、曇鸞はその一つ一つに、「仏もと此の荘厳功徳を起こしたもう所以は」と、なぜにしつらいを起こしたもうたかの理由を挙げて説明している。以下の解義分における十七種のしつらいの解釈では、その一つ一つに「此れ云何んが不思議なる」と出して、それぞれのしつらいが、なぜわれわれの思議を超えたものであるのかという観点から説明している。
これは、法蔵菩薩の因位と、および阿弥陀仏となって利他行にふみ出す果位との二つを望んだ解釈法といってよい。