じゅっしん
出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』
十信
菩薩の五十二位の修行中の第一十位である。十信と云ふは佛の教法に入ろうとするものは、まづ信をもって能入とするからである。
- 信心
一切の妄想を滅尽して中道純真であることを言う。 - 念心
真信明了にして一切円通し、幾多の生死を経るとも現前の習気を遺忘しないことをいう。 - 精進心
妙円純真なる精明をもって真浄に進趣すること。 - 慧心
心精現前すれば純真の智慧自然に発起するのをいう。 - 定心
智明を執持すれば周徧寂湛、常に心を一境に凝らす。 - 不退心
定光発明すれば明性深入して唯進むを知って退くことのないことをいう。 - 護法心
心進安然なれば一切仏法を保持して失はず、十方如来と気分交渉することをいう。 - 廻向心
覚明保持すれば能く妙力を以て、仏光廻照を感じ、又佛に向って安住することをいう。 - 戒心
心光密に廻すれぱ無為に安住して遺失のないことをいう。 - 願心
戒に住して自在なるが故に、能く十方に遊び所作悉く願に随ふことをいう。
十心
順流十心
- 無明昏暗
諸々の衆生は無始より以来暗識昏迷にして明了なる所なく、煩悩に酔わされて一切法において妄に人我を計し、諸々の愛見を起し、想計顛倒して貪瞋痴を起し広く諸業を作る、是に由て生死に流転することをいう。 - 外加悪友
諸々の衆生、内に煩悩を具し、外に悪友に値ひ、邪法は扇動して勤めて我を惑はすと益加して開悟して善業を修するに由なし、是を以て生死に流転することをいう。 - 善不随従
諸々の衆生、内外の悪縁已に具して即ち内の善心を滅し外に善事を滅す、又他人所作の善事に随喜の心を生ぜず、是を以て生死に流転することをいう。 - 三業造悪
諸々の衆生、身口意の三業を姿縦し、殺盗婬妄貪瞋等の過ちを起し、悪として作さざるなし、是れを以て生死に流転することをいう。 - 悪心遍布
諸々の衆生が造る悪事が広くはなくとも悪を作そうとする心は一切処に遍布し、欲する所をもって人を悩害する、是れを以て生死に流転することをいう。 - 悪心相続
諸々の衆生唯だ悪心を起し、悪事を増長すること昼夜相続して間断あることなし、是れを以て生死にるてんすることをいう。 - 覆諱過失
諸々の衆生が作る所の悪行、人の知るを忌諱して自から発露せず、改悔の心なし、是れを以て生死に流転することをいう。 - 不畏悪道
諸々の衆生心、性が陰狼にして戒律を知らず、殺盗婬妄種々の悪事において之を作らないということがない。而して悪道において怙然として畏れず。是をもって生死に流転する。 - 無慚無愧
諸の衆生、愚痴に覆はれて諸々の悪を造り、上には天を慚じることなく、下には人を愧じることなし。是を以て生死に流転することをいう。 - 捨無因果
諸々の衆生、正信の心を具えず、但だ邪悪の見を生じて一切の善悪因縁果報において悉く皆捨して無と爲す、是を以て生死に流転することをいう。〔摩訶止観4-1、T46.0039c-0040a〕