「魔」とは,死あるいは殺を意味するサンスクリット語「māra」に相当する音写。「魔羅」ともいわれる。
『大智度論』(5)に
とある。魔羅をときに悪魔ともいうが、仏教の「魔」はキリスト教など他宗教の悪魔とは著しく性格を異にする。仏教の「魔」に相当するものは婆羅門教にも見られないが、同教典籍に登場するヤマ(冥府の主,閻魔)、カーマ、イーシヴァラ(自在天)、ナムチなどの諸神格とおそらくなんらかの連関をもつものであろう。