じっぱらみつ
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十波羅蜜
deśa-pāramitā (S)
六波羅蜜に、方便・願・力・智の4波羅蜜を加えたものをいう。菩薩の実践すべき徳目である。『華厳経』十地品や、『成唯識論』に説く。
- 方便波羅蜜〈upāya-pāramitā〉 種々の間接的な手段によって智慧を導き出すこと。
- 願波羅蜜〈praṇidhāna-pā.〉 常に誓願をたもち、それを実現すること。
- 力波羅蜜〈bala-pā.〉 善行を実践する力と真偽を判別する力を養うこと。
- 智波羅蜜 ありのままに一切の真実を見とおす智慧を養うことをいう。〔華厳経25、T9-561b〕〔成唯識論9、T31-51b〕
唯識説では、この十波羅蜜を菩薩の十地において順次に修行するものとし、これを十勝行と名づける。
- この4波羅蜜は、慧波羅蜜を展開して分けたものである。
密教では、この十波羅蜜を十菩薩とし、これを胎蔵界曼茶羅の虚空蔵院に安置する。
密教において、印相を示すときに用いる両手十指の異名。右の小指を檀(布施のこと)、薬指を戒、中指を忍、人差し指を進、親指を定とし、左の小指を慧、薬指を方、中指を願、人差し指を力、親指を智と名づける。