①愛と見と。愛とは個個の事物にとらわれて、それに執著し、さとりに至ることを妨げる情意的な煩悩、見とは誤った理論にとらわれて間違った見解をもち、さとりに至ることを妨げる理知的な煩悩をいう。
②離るべき愛見をいまだ離れずに、他をいとおしみ救おうとする心を、愛見の大悲という。即ち、救おうとする対象を実体があるものとして、それにとらわれ、対象そのものが空であることをさとらずに起こすいつくしみの心である。これは小乗の菩薩が起こすもので、不浄な、真実でない大悲であるという。