あなばなねん
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阿那波那念
āna-apāna-smṛti (S)
「阿那阿波那念」ともいう。心の乱れが強い人が修する観法。
あれこれと考えて散乱する心を静めるために、入る息と出る息とに心を集中する修行法。阿那はānaの音写で、入る息、波那は詳しくは阿波那といい、apānaの音写で、出る息をいう。入息出息念・息念・持息念と意訳する。あるいは持来持去念とも意訳する。
この観法は〈小乗〉では、五停心観の一つに含まれ、不浄観とならんで修行に入る要門とされるが、〈唯識〉では、4つの対象(遍満所縁・浄行所縁・善巧所縁・浄惑所縁)を観察するヨーガのうちの「浄行所縁」を観察する修行のなかに含まれる。
諸の尋思を対治せんと欲する為の故に阿那波那念を修す。
- 論曰。言息念者、即契経中所説阿那阿波那念。言阿那者、謂、持息入、是引外風令入身義。阿波那者、謂、持息出、是引内風令出身義。慧由念力観此為境故、名阿那阿波那念。〔『倶舎』22、T29-118a〕
cf. 『瑜伽』26、T30-427a~b : 27、T30-430c以下 : 31、T30-455a~b