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しんのいちねん

出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

信の一念

 信心の開け発った最初の時のこと、またその信心のすがたを示す語。親鸞は、『無量寿経第十八願成就文

あらゆる衆生、その名号を聞きて信心歓喜せんこと、乃至一念せん    〔註 41〕

と説かれている「乃至一念」を信の一念を示す文と位置づけた。この一念に2種の解釈がある。

時剋の一念

 阿弥陀仏の本願を聞いて疑いなく信受する信心の開け発った最初の時をいう。『信巻』に本願成就文の一念について、

一念とはこれ信楽開発の時剋の極促を顕し、広大難思の慶心を彰すなり    〔註 250〕

とある。
 この「極促」について2種の解釈がある。一つは、「延(のびる)」に対する「促(ちぢまる)」の意で、「ちぢまりきった極限」という意味である。『文類聚鈔』には

往生の心行を獲得する時節の延促について、乃至一念といふなり    〔註 480〕

とある。

 もう一つは、「奢(おそい)」に対する「促(はやい)」の意で、「はやさの極限」という意味である。『尊号真像銘文』には

機有奢促者といふは、機に奢促あり。奢はおそきこころなるものあり、促はときこころなるものあり    〔註 668〕

とある。

信相の一念

 阿弥陀仏の救済を二心(疑心)なく信じることをいう。『信巻』には

一念といふは、信心二心なきがゆゑに一念といふ〔註 251〕

とある。

cf. 信一念義