地論宗
中国13宗のの一つ。世親の『十地経論』の研究をする学派。
如来蔵縁起説を主張し、衆生が本来持っているが隠れている自性清浄な永遠不変のさとりの本性である如来蔵によって、一切法が縁起する、と説く。『華厳経』の十地品の別行である『十地経』を註釈した『十地経論』は、北魏の菩提流支、勒那摩提、仏陀扇多などによって漢訳された。その際、訳者間で如来蔵をどのように解釈するか見解の相違があった。
- 勒那摩提の説は慧光に伝えられて、相州南道派となった。慧光の門下に逸材が輩出して、後の華厳宗成立の重要な基礎となった。
- 菩提流支の説は道寵に伝えられて、相州北道派となった。この一派は、如来蔵と阿梨耶識とを同一視して、一切法の拠りどころとして真如を立てた。この宗は、陳・随代に北地に拡がった。