だいとうさいいきき

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大唐西域記

中国、唐の玄奘三蔵がインドへ経典を採りに行った間の見聞を語ったものを、弟子の弁機が筆録した書物。『西域記』と略称する。646年作。12巻。

「だいとうせいいきき」ともいうことがあるが、基本的に「西域」は「さいいき」と読むのが慣わしである。

 玄奘の歩いた順に、138か国にわたって、地理、風俗、産物、言語、伝承、仏教事情が述べられており、政治や民族についても貴重な資料となっている。
 第1巻は中央アジアとアフガニスタン、第2巻から第11巻までがインド各地、第12巻がふたたびアフガニスタンと中央アジアにあてられている。
 記述のなかには玄奘が直接には赴かなかった国についての伝聞もあり、これが玄奘の直接入手した知識と区別されていないので注意を要する。

本書の研究には慧立編『大慈恩寺三蔵法師伝』が参考になる。

 本書は、19世紀以降のインド、パキスタン、アフガニスタン、トルキスタンにおける欧米や日本の学者の考古学的調査において重要な指南書となった。また、文学の分野にも影響を及ぼし、怪奇小説『西遊記』は本書の刺激によって書かれた。

 本書のヨーロッパ語訳としては、ジュリアンS. Julienの仏訳(1857~58)、ビールS. Bealの英訳(1884)、ウォッターズT. Wattersの英訳(1904~05)がある。日本では、研究書として堀謙徳(けんとく)『解説西域記』(1912)、足立喜六(あだちきろく)『大唐西域記の研究』(1942~43)のほか、水谷真成(しんじょう)による注釈付き翻訳がある。