「くぶきょう」の版間の差分
出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』
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+ | 「九部法(くぶほう)」ともいわれ、本事経(巻5)、『摩訶僧祇律(まかそうぎりつ)』(巻1)、大乗涅槃経(だいじょうねはんぎょう)(巻3)、大集法門経(巻上)、『十住毘婆沙論(じゅうじゅうびばしゃろん)』(巻9)、法集経(ほっしゅうきょう)(巻1)、法集名数経などに出る。<br> | ||
+ | パーリ聖典に「九分教(くぶんきょう)」(p:navaGgabuddhasaasana)として、 | ||
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+ | # 本生(ほんじょう)物語(jaataka) | ||
+ | # 歓喜(かんぎ)問答(vedalla) | ||
+ | # 未曾有法(みぞうほう)(abbhutadhamma) | ||
+ | の九つをあげるのが、本来の古い形に近い。 | ||
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+ | 九部経はさらに三分を加えて「[[じゅうにぶきょう|十二部経]]」となり、広く知られてきたが、本質的には同じもので、仏所説、如来所説の法の分類である。この法は、[[きょうぞう|経蔵]]にも[[りつぞう|律蔵]]にもわたる広い意味である。原始仏教聖典の中から、九分経の形式に合する部分を抽出すれば、聖典成立以前の古い素材を取り出して、最古の仏教思想を明らかにする有力な手がかりとなる。しかし後世は、経典が仏所説如来所説の法であることを示す権威の標識となる。 |
2012年5月15日 (火) 15:50時点における版
九部経
navaaGgapravacanaani (skt.)
仏教の聖典をその形式や内容から9種類に分類したもの。分類方法には12種類に分ける「十二部経」もあるが、九部経の分類法のほうが古いとされている。
「九部法(くぶほう)」ともいわれ、本事経(巻5)、『摩訶僧祇律(まかそうぎりつ)』(巻1)、大乗涅槃経(だいじょうねはんぎょう)(巻3)、大集法門経(巻上)、『十住毘婆沙論(じゅうじゅうびばしゃろん)』(巻9)、法集経(ほっしゅうきょう)(巻1)、法集名数経などに出る。
パーリ聖典に「九分教(くぶんきょう)」(p:navaGgabuddhasaasana)として、
- 経(きょう)(sutta)
- 重頌(じゅうじゅ)(geyya)
- 問答(もんどう)(veyyaakaraNa)
- 詩偈(しげ)(gaathaa)
- 感興偈(かんきょうげ)(udaana)
- 如是語(にょぜご)(itivuttaka)
- 本生(ほんじょう)物語(jaataka)
- 歓喜(かんぎ)問答(vedalla)
- 未曾有法(みぞうほう)(abbhutadhamma)
の九つをあげるのが、本来の古い形に近い。
九部経はさらに三分を加えて「十二部経」となり、広く知られてきたが、本質的には同じもので、仏所説、如来所説の法の分類である。この法は、経蔵にも律蔵にもわたる広い意味である。原始仏教聖典の中から、九分経の形式に合する部分を抽出すれば、聖典成立以前の古い素材を取り出して、最古の仏教思想を明らかにする有力な手がかりとなる。しかし後世は、経典が仏所説如来所説の法であることを示す権威の標識となる。