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出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

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<big>atīta-pratyutpanna: adhva-traya: trayo'dhvānaḥ: tri-kāla: traiya-dhvika</big> (S)<br>
 
「三際」(さんさい)ともいう。過去現在未来の3つをいう。
 
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# 時の経過する三世であれば、過去を前とし未来を後として過現未と次第する。[[じゅうにえんぎ|十二縁起]]の順がこれである。
 
# 時の経過する三世であれば、過去を前とし未来を後として過現未と次第する。[[じゅうにえんぎ|十二縁起]]の順がこれである。
 
# [[ほう|法]]の生起する三世であれば、未来を前として過去を後とする。未現過の順となる。事物の生起が未だ生じていないのが「未」、已でに生じて「現」、後に滅する「過」と次第するからである。例えば、未至を前路と呼び、已往を後路と名付けるようなものである。
 
# [[ほう|法]]の生起する三世であれば、未来を前として過去を後とする。未現過の順となる。事物の生起が未だ生じていないのが「未」、已でに生じて「現」、後に滅する「過」と次第するからである。例えば、未至を前路と呼び、已往を後路と名付けるようなものである。
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 過去世・現在世・未来世の三つの世、三つの時間。過現未の三世と略称する。時間は現在の一刹那しか存在しないのになぜ過去と現在と未来とが設定されるのかという問題については、学派によって見解が相違する。三世に関する諸説の考察は〔大毘婆沙論76、T27.393c〕〔瑜伽師地論略纂2、T43. 22a-b〕に詳しいが、総じていえば、現象的存在(有為・行)の因果や作用の観点から時間を論じる立場と、〈唯識〉の阿頼耶識のなかの種子に約して時間を考える立場とに分かれる。現在世を現世・今世、未来世を来世・後世ともいう。<br>
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: 如何立有三世差別。答、以作用故、立三世別。(中略)謂、有為法未有作用、名未来、正有作用、名現在、作用已滅、名過去。〔大毘婆沙論76、T27. 393c〕
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: 云何建立三世。謂、諸種子不離法故、如法建立。又由与果末与果故、若諸果法、若已滅相、是過去。有因未生相、是未来。已生未滅相、是現在。〔瑜伽師地論3、T30. 291c〕
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: 今大乗釈、種子不離第八識法、如第八識法、建立三世。又種不離現行之外、條然有体、如現行法、依種子上、建立三世。云何建立。種子之上、当可生果、名未来、能生種因、名過去、種子自体、名現在。〔瑜伽師地論略纂2、T43.  22a〕

2023年9月5日 (火) 20:54時点における最新版

三世

atīta-pratyutpanna: adhva-traya: trayo'dhvānaḥ: tri-kāla: traiya-dhvika (S)
「三際」(さんさい)ともいう。過去現在未来の3つをいう。

 「世」とは「遷流」という意味である。有為の事物は一刹那も留まらず、生じ了れば直ちに滅する。よって来生を未来世として、生じ了るのを現在世とし、滅し了るのを過去世とする。すなわち、事物の遷流する上において三種の時間を仮に立てるものであり、事物を離れて別に時間と言うものが実体するものではない。

 また、三世に、時に就くと、法に就くとの2種類がある。

  1. 時の経過する三世であれば、過去を前とし未来を後として過現未と次第する。十二縁起の順がこれである。
  2. の生起する三世であれば、未来を前として過去を後とする。未現過の順となる。事物の生起が未だ生じていないのが「未」、已でに生じて「現」、後に滅する「過」と次第するからである。例えば、未至を前路と呼び、已往を後路と名付けるようなものである。

 過去世・現在世・未来世の三つの世、三つの時間。過現未の三世と略称する。時間は現在の一刹那しか存在しないのになぜ過去と現在と未来とが設定されるのかという問題については、学派によって見解が相違する。三世に関する諸説の考察は〔大毘婆沙論76、T27.393c〕〔瑜伽師地論略纂2、T43. 22a-b〕に詳しいが、総じていえば、現象的存在(有為・行)の因果や作用の観点から時間を論じる立場と、〈唯識〉の阿頼耶識のなかの種子に約して時間を考える立場とに分かれる。現在世を現世・今世、未来世を来世・後世ともいう。

 如何立有三世差別。答、以作用故、立三世別。(中略)謂、有為法未有作用、名未来、正有作用、名現在、作用已滅、名過去。〔大毘婆沙論76、T27. 393c〕
 云何建立三世。謂、諸種子不離法故、如法建立。又由与果末与果故、若諸果法、若已滅相、是過去。有因未生相、是未来。已生未滅相、是現在。〔瑜伽師地論3、T30. 291c〕
 今大乗釈、種子不離第八識法、如第八識法、建立三世。又種不離現行之外、條然有体、如現行法、依種子上、建立三世。云何建立。種子之上、当可生果、名未来、能生種因、名過去、種子自体、名現在。〔瑜伽師地論略纂2、T43. 22a〕