「しききょう」の版間の差分
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このなか「顕色」は明瞭に顕現している色彩、「形色」は形、「表色」は動き、をいう。顕色のなかで「青・黄・赤・白」が基本色で、これら4つの混合によって他の8つが生じる。<br> | このなか「顕色」は明瞭に顕現している色彩、「形色」は形、「表色」は動き、をいう。顕色のなかで「青・黄・赤・白」が基本色で、これら4つの混合によって他の8つが生じる。<br> | ||
この内「光」とは太陽のひかり、「明」とは太陽以外のもの、たとえば月や星、たき火や宝石などから発せられるひかり、「影」とは光と明とがさえぎられてできた陰影、「闇」とはまったくの暗やみをいう。雲以下の4つの自然現象は、なんらかの事物として錯覚されることがあるから、それを防ぐために色に含める。空一顕色とはスメール山の山壁に認められる青色などの輝色で、世界の中心と考えられた山に由来する特殊な色をいう。<br> | この内「光」とは太陽のひかり、「明」とは太陽以外のもの、たとえば月や星、たき火や宝石などから発せられるひかり、「影」とは光と明とがさえぎられてできた陰影、「闇」とはまったくの暗やみをいう。雲以下の4つの自然現象は、なんらかの事物として錯覚されることがあるから、それを防ぐために色に含める。空一顕色とはスメール山の山壁に認められる青色などの輝色で、世界の中心と考えられた山に由来する特殊な色をいう。<br> | ||
− | 形色のなか、「長」とは長い形、「短」とは短い形、「方」とは方形、「円」とは輪状の円形、「鹿」とは粗大で大きな形、「細」とは微小で小さな形、「高」とはなかが凸状になっている形、「下」とはなかが凹状になっている形、「正」とは均整のとれた形、「不正」とは不均整な形をいう。表色のなかの行・住・坐・臥を、まとめて四威儀という( | + | 形色のなか、「長」とは長い形、「短」とは短い形、「方」とは方形、「円」とは輪状の円形、「鹿」とは粗大で大きな形、「細」とは微小で小さな形、「高」とはなかが凸状になっている形、「下」とはなかが凹状になっている形、「正」とは均整のとれた形、「不正」とは不均整な形をいう。表色のなかの行・住・坐・臥を、まとめて四威儀という(→[[しいぎ|四威儀]])。<br> |
なお、顕色のなかに空一顕色を入れない説もある。 | なお、顕色のなかに空一顕色を入れない説もある。 | ||
− | ( | + | (参考)『瑜伽師地論』1,T30-279b : 『大毘婆沙論』13、T27-64a : 『阿毘達磨倶舎論』1,T29-2b~c |
2022年8月17日 (水) 16:34時点における最新版
色境
眼という感覚器官(眼根)の対象。視覚(眼識)の対象。次の3種類に分けられる(『瑜伽』の所説)。
- 顕色(青・黄・赤・白、光・影・明・闇、雲・煙・塵・霧、空一顕色)
- 形色(長・短・方・円、鹿・細・正・不正・高・下)
- 表色(取・捨・屈・伸、行・住・坐・臥)
このなか「顕色」は明瞭に顕現している色彩、「形色」は形、「表色」は動き、をいう。顕色のなかで「青・黄・赤・白」が基本色で、これら4つの混合によって他の8つが生じる。
この内「光」とは太陽のひかり、「明」とは太陽以外のもの、たとえば月や星、たき火や宝石などから発せられるひかり、「影」とは光と明とがさえぎられてできた陰影、「闇」とはまったくの暗やみをいう。雲以下の4つの自然現象は、なんらかの事物として錯覚されることがあるから、それを防ぐために色に含める。空一顕色とはスメール山の山壁に認められる青色などの輝色で、世界の中心と考えられた山に由来する特殊な色をいう。
形色のなか、「長」とは長い形、「短」とは短い形、「方」とは方形、「円」とは輪状の円形、「鹿」とは粗大で大きな形、「細」とは微小で小さな形、「高」とはなかが凸状になっている形、「下」とはなかが凹状になっている形、「正」とは均整のとれた形、「不正」とは不均整な形をいう。表色のなかの行・住・坐・臥を、まとめて四威儀という(→四威儀)。
なお、顕色のなかに空一顕色を入れない説もある。
(参考)『瑜伽師地論』1,T30-279b : 『大毘婆沙論』13、T27-64a : 『阿毘達磨倶舎論』1,T29-2b~c