「びばしゃ」の版間の差分
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− | + | 「<big>vibhāṣā</big>」の音写である。an option, alternative; optionary of a rule。選択、択一、ある規則の選択的摘要 | |
『玄応音義』巻17には「種々説」「分々説」「広説」の意味があるという。この中、「毘婆沙」は主として広説の意味に用いられるとしている。<br> | 『玄応音義』巻17には「種々説」「分々説」「広説」の意味があるという。この中、「毘婆沙」は主として広説の意味に用いられるとしている。<br> | ||
− | + | 普光の『倶舎論記』に「毘」を「広」または「勝」「異」などの意味であるとしているが、それはサンスクリットの「vi」を解釈したものである。<br> | |
アプテの『梵英辞典』によれば接頭字の「毘」について次のようにいう。①separation, disjunction ②difference ③variety ④manifoldness。次に「婆沙」については「説」であると『光記』は解釈している。<br> | アプテの『梵英辞典』によれば接頭字の「毘」について次のようにいう。①separation, disjunction ②difference ③variety ④manifoldness。次に「婆沙」については「説」であると『光記』は解釈している。<br> | ||
このサンスクリットから「毘婆沙」は'''「種々の説をかかげ、それらを批判しながら、やがて勝説を確立してゆくような体裁をもつもの」'''をいうと考えられる。 | このサンスクリットから「毘婆沙」は'''「種々の説をかかげ、それらを批判しながら、やがて勝説を確立してゆくような体裁をもつもの」'''をいうと考えられる。 | ||
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+ | ===倶舎論=== | ||
+ | 『倶舎論』に出てくる「毘婆沙」は、[[びばしゃし|毘婆沙師]]あるいは彼らの造った『[[ばしゃろん|婆沙論]]』を指す。 |
2017年5月26日 (金) 17:54時点における版
毘婆沙
「vibhāṣā」の音写である。an option, alternative; optionary of a rule。選択、択一、ある規則の選択的摘要
『玄応音義』巻17には「種々説」「分々説」「広説」の意味があるという。この中、「毘婆沙」は主として広説の意味に用いられるとしている。
普光の『倶舎論記』に「毘」を「広」または「勝」「異」などの意味であるとしているが、それはサンスクリットの「vi」を解釈したものである。
アプテの『梵英辞典』によれば接頭字の「毘」について次のようにいう。①separation, disjunction ②difference ③variety ④manifoldness。次に「婆沙」については「説」であると『光記』は解釈している。
このサンスクリットから「毘婆沙」は「種々の説をかかげ、それらを批判しながら、やがて勝説を確立してゆくような体裁をもつもの」をいうと考えられる。