ごんせつ
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言説
「げんせつ」とも「ごんせつ」とも読むが、「ごんぜつ」がもっとも多く使われている。
「vāc (S)」 「ことば」のこと。
「deśanā」「deśanā-pāṭha」(S) ことばをもって法を説くこと。
「abhilāpa」(S)『起信論』では、言説は妄念の現れであるとして、差別的な言葉と解釈している。〔起信論 T32-576a〕
「prajñapti」(S)ことばによって仮に設定すること。
「但有言説」名称としてのみ存在する。人間が〈それが存在する〉とほしいままに独断して名づけたものであるから、その名のみが存在するに過ぎない、という意味。〔倶舎論2巻〕
起信論
- 一切の言説は仮名にして実なく、但だ妄念に随うのみにして、不可得なるを以っての故に、真如と言うも亦た相あることなし。謂く、言説の極みは言に因って言を遣るなり。
これを現代語訳すると
- 言語表現はすべてかりに名づけたものであって、そういう実体があるわけではない。誤った心の動きに随うだけであり、実体は知覚されることはないのである。したがって、ここで真実のあり方といっていることも、この語に対応するようなものが実在するというわけではないのである。言葉は所詮、言葉を使って誤った考えを正すだけである。
となる。