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あだなしき

出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

阿陀那識

ādāna-vijñāna (S)

 阿陀那は、「維持する」「保持する」という意味のādānaの音写。
 生命を維持し保持する識。深層の根源的な識である阿頼耶識の別名。根本識である阿頼耶識は一切の存在を生じる可能力(種子)と感覚器官(有色根)とを保持し維持し、かつ再生時に相続して引き継がれる識であるから阿陀那識という。
 第八識の別名。執持識と意訳する。この識は、

  1. 感官と身体とを執事して壊せざらしめる根本的な識であり
  2. 諸法の種子を執持して失わず、
  3. 自身を執持して結生相続せしめるから、執持識という。

 玄奘窺基法相宗では、アーラヤ識の別名とし、この識が善悪の業の勢力と、われわれ有情の身体とを維持、執持してこわさないのであると考える。

第八識、雖諸有情皆悉成就、而随義別立種種名。‥‥或名阿陀那。執持種子及諸色根、令不壊故。〔『成唯識論』3,T31-13c〕 
以能執持諸法種子、及能執受色根依処、亦能執取結生相続、故説此識、名阿陀那。〔『成論』3、T31-14c〕

cf.『摂大乗論』上、T31-133b~c


 第七識ともいう。アーラヤ識の有覆無記の点をいう。法相宗以外の地論宗摂論宗の諸派では第七識とし、第八阿梨耶(ālaya)が真如識であるのに対して、阿陀那識を妄識無明とみる。これらの相違が出てくる根拠は、識を八種に分けるか九種とするかの、説の相違にある。