いじゅくいん
出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』
異熟因
vipāka-hetu (S)
時を異にして果を生じる因。時を異にするとは因と果とが過去世から現在世、あるいは現在世から未来世と2世にまたがることをいう。
善・悪(不善)・無記の3業のうち善業と悪業の2つが、また有漏業と無漏業とのなかの有漏業が異熟因となる。なぜなら無記(善でも悪でもない)のものは、力が弱く異熟を招くことができないから、また無漏(煩悩がない業)は、煩悩という愛水に潤されることがないからである。
六因(能作因・倶有因・同類因・相応因・遍行因・異熟因)の一つ。
唯諸不善及善有漏、是異熟因、異熟法故。何縁無記不招異熟。由力劣故、如朽敗種。何縁無漏不招異熟。無愛潤故、如貞実種無水潤沃。〔『倶舎』6,T29-33a〕
菩薩の異熟因として寿量具足因・形色具足因・族姓具足因・自在具足因・信言具足因・大勢具足因・人性具足因・大力具足因 の8種が説かれる〔『瑜伽師地論』36、T30-484b~c〕。