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さらそうじゅ

出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

沙羅双樹

Shorea robusta Gaertn. フタバガキ科の常緑高木。インド北部原産。

 高さ40メートル、葉は互生し、革質、全縁。葉柄の基部には托葉(たくよう)があるが、早期に脱落する。幹の上部の葉の付け根に大形の円錐(えんすい)花序を生じ、淡黄色の花をつける。花弁の基部は癒着して短い筒状となり、先端は5裂する。雄しべは多数、子房は3室。果実はどんぐりのような堅果で細長く、食用になる。材は堅く、じょうぶで建築材とする。

日本の寺院でサラソウジュと称して境内に植えられている植物や、花屋でサラソウジュの名で苗木を販売し、また盆栽などに仕立てられている植物は、ツバキ科のナツツバキ(シャラノキ)で、まったくの別種である。

 仏教では聖木とされる。沙羅はサンスクリット語シャーラ(zaala)の音写語で、堅固な樹の意。沙羅樹とも。釈尊入滅のとき、臥床の四方に2本ずつ生えていた沙羅樹の各1本が枯れ、他は残って栄枯の相を示したと伝えられる。その枯れた沙羅樹が白鶴のようであったので鶴林(かくりん)ともいう。
 仏伝では、生誕時の無憂樹成道時の菩提樹、入滅時の沙羅樹と、仏陀生涯の重大事を樹で象徴しており、インドの聖樹信仰の残存をうかがわせる。

日本では『平家物語』の冒頭「娑羅双樹(しゃらそうじゅ)の花の色 盛者(じょうしゃ)必衰の理(ことわり)をあらはす」でよく知られる。