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そうざん

出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

僧残

saMghaavazeSa (skt.) 「僧伽婆尸沙」

 僧伽に残りがあるという意味。波羅夷を犯した比丘は、僧伽で救済の方法はない。自動的に追放になるが、僧残罪を犯した比丘は、僧伽で助けることができる。すなわち僧伽の決議によって、犯罪比丘に贖罪をさせ、一週間のあいだ如法に懺悔を修すれば、罪を浄めて、僧伽の認定によって、再び清浄比丘の資格を回復する。僧伽に裁量権があるので僧残という。

僧伽とは、四人以上の比丘が結界内に和合生活をする時、僧伽が成立する。ただし、出罪の決定をなす僧伽は、二十人以上の比丘がいなければならない。

僧残罪13条

  1. 故出精戒  わざと精液を漏らすこと。
  2. 触女人戒  女性の肌に触れること。誤って女性の肌に触れても僧残罪になる。故に比丘は外出する時は、首から足首まで全身を覆うように袈裟を着るのである。
  3. 麁語戒  女性と性に関する話をすること。
  4. 嘆身索供養戒  禁欲者である比丘に婬欲の供養をすれば功徳が大きいといって、自己との性交を勧めること。相手の女性がその気になった時、それを拒否して、相手に恥をかかせることが含まれている。
  5. 媒嫁戒  結婚の媒介のことで、比丘には禁止されていた。
  6. 有主房戒  房とは住居のことで、比丘の住房を作ってくれる布施者がある場合にも、場所と大いさに限度があり、僧伽の許可を必要とした。これを守らないと僧残罪になる。
  7. 無主房戒  布施者のない場合、自分で木や草などを乞求して房を作る場合にも制限があり、僧伽の許可を必要とした。。これを守らない場合罪に陥る。
  8. 無根謗戒  無根の波羅夷で他の清浄比丘を謗ること。もしこの誹謗が認められると、誹謗された比丘は波羅夷罪になってしまう。この妄語は罪が重いので僧残罪になる。中妄語という。これに関係のない一般の妄語を小妄語といい、波逸提に含まれている。
  9. 仮根謗戒  仮りに犬や羊などに清浄比丘と同じ名をつけ、それに仮託して、婬欲を行じたなどと誹謗をする場合。
  10. 破僧違諌戒  破僧を企てた比丘には、師や友が一人で忠告し、きかない場合は、二・三人の比丘が忠告し、それでも破僧の企てを捨てない時には、僧伽の決議によって三度忠告する。三度諌めても企てを捨てない時に僧残罪になる。
  11. 助破僧違諌戒  破僧を助ける比丘の陥る罪である。僧伽から四人以上の比丘が分れて、同じ結界の中で別の僧伽を形成した場合に破僧が成立する。三人までの比丘が僧伽から離れても破僧にはならない。提婆達多が四人の伴党比丘と共に釈尊に反対して、破僧を企てた時、提婆は破僧違諌戒に触れ、四人の伴党比丘は助破僧違諌戒に触れたのである。伴党比丘に対しても、個人の比丘、二・三人の比丘、僧伽の順序で忠告がなされる。そして諌めに随わない場合に僧残罪になる。
  12. 汚家賓謗違諌戒  信者の清浄な信心を汚す行為をした比丘は、その住処から退去せしめられる。僧伽がこの決定をした場合、僧伽の決定に不服を申し立て、僧伽を誹謗すると、僧伽からその誹謗を捨てるように諌告される。三度諌告されても自説を捨てない時にこの罪に陥る。信者が比丘や僧伽へ布施や供養をするのは、無条件のものでなければならない。代償を期待して信者が僧伽に布施しても、それは真の布施ではない。故に比丘は信者にかかる心を起させてはならない。比丘が信者から布施を得んと思って、信者の利益を計ったり、その意を迎えたりしてはならない。比丘がそういう行為をすると、信者が清浄な信心を失う。これを汚家という。かかる比丘は、僧伽から、その土地から退去するように命ぜられるのである。
  13. 悪性拒僧違諌戒  破戒行為をして反省しない比丘は、戒律を学習するように僧伽から忠告される。しかしその比丘が僧伽の忠告を受けつけない場合には、個人の比丘、二・三人の比丘、僧伽の順序でその比丘に、僧伽の忠告を受入れるように諌告する。この諌告に随わない時、僧残罪に陥る。

 以上の十三条の僧残罪のうち、初めの九戒は、犯戒した時に僧残罪になるが、残りの四条は三諌を経て僧残罪に陥る。