そくしんじょうぶつぎ
出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』
即身成仏義
一巻。空海(774-835)の著。成立年不詳。『即身義』ともいう。
真言密教の根本教義である即身成仏の義を説いたもの。他宗の宗義はいずれも、三劫成仏(歴劫(りゃっこう)成仏)の説をとるのに対して、肉身そのままで仏と平等なさとりが得られるとする。
まず『金剛頂経』『大日経』『菩薩心論』から即身成仏に関する8箇の証文を引いてその根拠を明らかにし、次に大日如来・金剛薩唾・竜猛・竜智・金剛智・不空・恵果・空海と次第して相承された2頌8句(八祖相承の偈)を挙げ、そこに説かれる六大・四種曼茶羅・三密をそれぞれ体・相・用に配し、それぞれが互いに礙げなく融けあっているから即身成仏の理があるとする。
この理によって、衆生は手に印を結び、口に真言を唱え、心を三昧に住まわせれば仏と一体となり、衆生が本具する法身を証して成仏すると説く。
本書は『声字実相義』『吽字義』とともに三部書と称され、また十巻章の一に数えられる。真言宗の基本祖書として重んじられ、多くの註釈が作られた。高野山に空海の真筆本を伝えるが、一説には直弟子真雅の筆ともいう。また他に六種の異本があるが、いずれも空海の真筆とは認められない。
・弘法大師全集三、大正蔵 vol.77、国訳一切経 諸宗部20
伝真筆
高野山御影堂蔵
写本
- 高山寺蔵
- 大谷大学蔵(仁平3(1153)写、奥書)