だいじょうあびだつまじゅうろん

出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』
移動先: 案内検索

大乗阿毘達磨集論

「だいじょうあびだつましゅうろん」とも読む。mahāyānābhidharma-samuccaya (S)。7巻。無著造。玄奘訳。

 大乗阿毘達磨の要項を集めて解釈した論書である。
 「本事分」と「決択分」の二つに分かれ、本事分に三法品・摂品・相応品・成就品の4品、決択分に諦品・法品・得品・論議品の4品に分けられている。
 最初に「本事與2決択1、是各有2四種1、三法摂相応、諦法及論議。幾何因取相、建立與2次第1、義喩広分別、集總頌応知」の頌を掲げる。
 三法品の中で、具体的に因・取・相・建立・次第・義・喩・広分別の8門をあげて、蘊処界の三法を解釈し、とりわけ第1巻に初めの7門を解釈し、第2巻から第3巻の始めに三法の仮実・有色無色・有見無見などの義についてこれを分別している。
 次に摂品では、相摂・界摂・種類摂など11種の義を立てて前の相摂を分別する。
 相応品では、不相離・和合・聚集など6種の相応の義によって三法を解説する。
 成就品では、善などの三性の増損において、種子・自在および現行の3種の成就を建立することを明かしている。
 決択分の中では、初めの諦品は四聖諦の義を広説するもので、第3巻の後半から第4・5巻を尽くしている。
 第6巻で法品を解釈する中、まず十二分教を略説して、次に経律論の三蔵、声聞・菩薩の2蔵の所摂を明かし、さらに三蔵建立の義旨ならびに遍満浄行などの所縁法の差別を論じる。
 得品には、まず得決択に補特伽羅と現観との2種があることを明かし、中でも補特伽羅建立の中に病行・出離・任持・方便・果・界・修行の7種の差別があることを説き、さらに病行に貪瞋などの7種、出離に声聞・独覚・大乗の3種、任持に未具・已具未具・已具の3種の資糧、方便に随信随法の2種、果に信解見至などの27賢聖、界に三界における有学・無学・独覚・菩薩の別、修行に勝解行ないし無巧用力の5種の菩薩があることを明かし、次に現観に法・義・真・後・実・不行・究竟・声聞・独覚・菩薩の10種の別があるとして、さらに声聞と菩薩の現観に境界ないし果などの10種の差別があることを説いている。
 論義品は、論義決択の法を明かしている。これに義・釈・分別顕示・等論・摂・論軌・秘密の7種の決択があるとして、中でも論軌決択の中に古因明家の五支作法などの説を出して、最後に論の題目を解釈して巻を終わっている。

 この書は、『大乗阿毘達磨雑集論』第16に『大乗阿毘達磨経』の諸思択処を遍摂するものであるとあるが、本事決択の2分は『瑜伽師地論』の本地分・摂決択分に取りあげられているのと同じである。また釈義についても三法品広分別中の有色無色から有上無上などの義門、摂品の11種分別、成就品の3種成就の説などは、『瑜伽師地論』第13・第52、および『顕揚聖教論』第14などの所説とほとんど同じである。よって、この論書は、『顕揚聖教論』と『瑜伽師地論』の綱要書と言えるだろう。
 唐永徽3年3月の『大乗阿毘達磨雑集論』16巻は、この書の釈註である。