むしょうぼうにん
出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』
無生法忍
anutpattika-dharma-kṣānti (S) 「無生忍」ともいう。
一切のものが空であり、それ自体の固有の性質を持たず、したがって生滅変化を超えているという事実の道理を受け入れること。
kṣānti(忍耐)を「忍」と直訳しているが、この場合の kṣānti は、事実の道理を事実の道理として受け入れるという意味。
- 諸々の存在は無生無滅である(無生法)と認識すること 〔梵文維摩経〕
無生法忍は大乗独自の概念である。『大智度論』などは、不退の菩薩の段階で得ると説く。
『無量寿経』(上)は音響忍・柔順忍・無生法忍の「三忍」をあげる。
- ānulomikyāḥ kṣānteḥ pratilambho 'bhūt チベットでは、「真理に随順するという忍を得た」(長尾訳)として、支謙は「得柔順法忍」と訳す。羅什・玄奘は「得無生法忍」と訳している。〔梵文維摩経〕