「ろくはらみつ」の版間の差分
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[[だいじょうぶっきょう|大乗仏教]]で[[ぼさつ|菩薩]]が修めなくてはならない六種の実践徳目のことで、「六度(ろくど)」とも呼ばれる。 | [[だいじょうぶっきょう|大乗仏教]]で[[ぼさつ|菩薩]]が修めなくてはならない六種の実践徳目のことで、「六度(ろくど)」とも呼ばれる。 | ||
− | # 檀[[はらみつ|波羅蜜]] | + | # 檀[[はらみつ|波羅蜜]] dāna-pāramitā [[ふせ|布施]]波羅蜜。檀は檀那(dāna)の略で、[[ふせ|布施]]と訳す。財施、無畏施、法施の行。 |
− | # | + | # 戒波羅蜜 śīla- [[しら|尸羅]]は[[かい|戒]]と訳す。戒行のこと。 |
− | # | + | # [[にんにく|忍辱]]波羅蜜 kṣānti- 苦難に耐え忍ぶこと。 |
− | # [[しょうじん|精進]] | + | # [[しょうじん|精進]]波羅蜜 vīrya- 身心を精励して前後の五波羅蜜を進修すること。 |
− | # [[ぜんじょう|禅定]] | + | # [[ぜんじょう|禅定]]波羅蜜 dhyāna- 真理を思惟して散乱の心を定止すること。四禅、八[[じょう|定]]、百八[[さんまい|三昧]]など。 |
− | # | + | # 智慧波羅蜜 prajñā- [[はんにゃ|般若]]()と音写する。諸法に通達する智、断惑証理する慧。前五波羅蜜は、この智慧波羅蜜を得るための準備手段として必要とされる。 |
菩薩は、この六法を修して自利利他の大行を究竟して涅槃の彼岸に到る。 | 菩薩は、この六法を修して自利利他の大行を究竟して涅槃の彼岸に到る。 | ||
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+ | : 菩薩にとって布施という国土が、ブッダの国土である。その菩薩が覚りに達して後、そのブッダの国土には、あらゆるものを喜捨する衆生が生まれてくるのだ。‥‥善い行状(戒)‥‥。‥‥あらゆる願望を成就して、十種類の善き行ないの道(十善業道)を遵守する衆生が生まれてくるのだ。‥‥忍耐(忍辱)‥‥。‥‥三十二種類の身体的特徴で荘厳され、忍耐と自制と心の寂静(止)の完成に到った衆生が生まれてくるのだ。‥‥努力精進‥‥。‥‥あらゆる善行を求めることにおいて努力精進を獲得した衆生が生まれてくるのだ。‥‥禅定‥‥。‥‥正しく億念することと正しい智慧によって心を集中している衆生が生まれてくるのだ。‥‥智慧‥‥。‥‥正しい在り方が確定した衆生(正定聚)が生まれてくるのだ。 〔維摩経〕 | ||
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+ | <big>dāna-damatha-śīla-kṣãnti-vīrya-dhyāna-samādhi</big> (S) | ||
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+ | この経典では、[[ろくど|六度]]と似ているけれども、六度と一致しない。大乗仏教における徳目の'''体系化以前の段階'''を示している。 |
2025年1月24日 (金) 14:53時点における最新版
六波羅蜜
ṇaṭ-pāramitā (S)「ろっぱらみつ」とも読む。
大乗仏教で菩薩が修めなくてはならない六種の実践徳目のことで、「六度(ろくど)」とも呼ばれる。
- 檀波羅蜜 dāna-pāramitā 布施波羅蜜。檀は檀那(dāna)の略で、布施と訳す。財施、無畏施、法施の行。
- 戒波羅蜜 śīla- 尸羅は戒と訳す。戒行のこと。
- 忍辱波羅蜜 kṣānti- 苦難に耐え忍ぶこと。
- 精進波羅蜜 vīrya- 身心を精励して前後の五波羅蜜を進修すること。
- 禅定波羅蜜 dhyāna- 真理を思惟して散乱の心を定止すること。四禅、八定、百八三昧など。
- 智慧波羅蜜 prajñā- 般若()と音写する。諸法に通達する智、断惑証理する慧。前五波羅蜜は、この智慧波羅蜜を得るための準備手段として必要とされる。
菩薩は、この六法を修して自利利他の大行を究竟して涅槃の彼岸に到る。
- 菩薩にとって布施という国土が、ブッダの国土である。その菩薩が覚りに達して後、そのブッダの国土には、あらゆるものを喜捨する衆生が生まれてくるのだ。‥‥善い行状(戒)‥‥。‥‥あらゆる願望を成就して、十種類の善き行ないの道(十善業道)を遵守する衆生が生まれてくるのだ。‥‥忍耐(忍辱)‥‥。‥‥三十二種類の身体的特徴で荘厳され、忍耐と自制と心の寂静(止)の完成に到った衆生が生まれてくるのだ。‥‥努力精進‥‥。‥‥あらゆる善行を求めることにおいて努力精進を獲得した衆生が生まれてくるのだ。‥‥禅定‥‥。‥‥正しく億念することと正しい智慧によって心を集中している衆生が生まれてくるのだ。‥‥智慧‥‥。‥‥正しい在り方が確定した衆生(正定聚)が生まれてくるのだ。 〔維摩経〕
梵本『無量寿経』
dāna-damatha-śīla-kṣãnti-vīrya-dhyāna-samādhi (S)
この経典では、六度と似ているけれども、六度と一致しない。大乗仏教における徳目の体系化以前の段階を示している。